376「企画モノ考」



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ハロプロほど企画モノ楽曲の好きな集団はない。


シャッフルユニットと言っては企画モノ。アニメとのコラボと言っては企画モノ。
フォークソングに地中海サウンドに野球の応援歌。
事あるごとに企画モノを捻り出しては、話題作りに役立てている。
もちろん、それ自体は全然構わないのだが、何というか、アップフロントの繰り出す企画モノは、
総じてインパクトに欠けるというか、所詮は企画モノなのだから、目立ち重視で、
ドカンと派手に花火を打ち上げれば良さそうなものなのに、中途半端に小綺麗にまとめようとして、
気がつけば、企画モノなのにパンチに激しく欠ける出来栄えだったという事がままある。
突き抜けた面白さとか、マジメな戦略上では絶対にあり得ない楽曲やビジュアルなど、
企画モノだからこそのハチャメチャ感こそが、その醍醐味であるにも関わらず、
そこに到達する事なく終わってしまうパターンは、
アップフロントの伝統とも言える「悪癖」と言っていいだろう。


今回、里田まいwith藤岡藤巻の『オヤジの心に灯った小さな火』を聴いて思ったのは、
その悪癖まざまざだなという事だった。


若い女がオヤジを毛嫌いするという、平成19年とは思えぬパターンの古さにはこの際目をつぶるとしても、
今、最も「旬」なハロプロメンバー里田まいの、持ち味や良さというものが、
この楽曲の中で全くと言っていいほど活かされていない事は、はっきり言って大いに不満だ。
まあ、里田まいにネームバリューが存在している今だからこそ、
この仕事が彼女の元に巡ってきたという側面も多分にあるのだろうが、
ならばせめて、彼女を使うからこその「効果」が目視できる世界観を作り上げて欲しかった。
特に、折角ここまでのアホキャラが付いているのだから、その路線をうまく絡ませる事ができていれば、
企画モノとして、もっと盛り上がりのあるものになったのではないかとボクは思う。
ただ、有線放送で流れているのを何度か耳にしているので、そういう場所からジワジワという作戦なのかも知れず、
今後の動向を、しばらくは見守ってみるつもりでいる。


逆に、最近大成功を収めた企画モノと言えば、月島きらり starring 久住小春(モーニング娘。)である。


これを企画モノであるとみなす事に、あるいは異論もあるとは思うが、
そもそもアニメとのコラボレーションというきっかけがなければ、
実現も成功もしなかった話であり、そういう意味では、紛う事なき企画モノであると言えるだろう。
そして、その大成功の大きな要因は、久住自身がアニメキャラの月島きらりに徹した事にあるとボクは考える。
実写版的に画面に登場する時も、もちろん劇中においても、
そこにいるのは久住小春ではなく、あくまでも月島きらりなのだという設定をどこまでも貫いた事で、
その存在に憧れるちびっこファンのみならず、一種のバーチャル体験に酔いしれる大人のファンも含め、
多くの支持を獲得する事ができたのではないだろうか。
そして、この成功事例が次回以降に活かされれば、数打ちゃあたるでクオリティに難のあった、
ハロプロの企画モノ路線にも、きっと変化が見られるようになるに違いない。


さしあたって、夏に向けての何か動きはないものだろうか。
いろいろあって停滞ムードのハロプロで、久しぶりのお祭り騒ぎを見てみたい気もする今日この頃。
数年ぶりにメンバー総動員のシャッフルユニットなんて、ちょっと面白そうなのだが。

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