375「アジアンパワー」



Kirots(音楽動画 MICKEY.TV)

人気絶頂!台湾版モーニング娘。「黒渋会美眉」―台湾yahoo!辞書)

ヒョニョン、モー娘の『恋愛レボリューション21』をリメークinnolife.net)



「アジアぁ?」


言われ始めの頃は、まさにそんな感じで、まったく胡散臭い印象しか持てなかったモーニング娘。のアジア展開。
その頃にも書いているのだが、つまり、アジアという発想があまりに唐突すぎて、
こちらとしてどういう感じで取り扱って良いものなのかが、イマイチよく解らないのだ。
そこにきて、そんな降って湧いたような物件を、
モーニングの10年の節目とリンクさせてやってしまおうというのだから、
「なんでやねん」と思わずツッこみたくなるのは、ある意味仕方がない事だと言える。
その後、チャイニーズの留学生を迎え入れたり、韓国で音源をデジタル配信したりと、
アジアを相手に「なんかやってる」というトピックを耳にする機会も増え、
ボクもようやく、今後の展開が気になったりするほどの関心を傾けるようになったが、
それでもやはり「どこまで本気?」の思いは払拭できない。
留学生の2人が初参加する新しいシングルが、香港映画のような、
ビックリするほどに大陸的なテイストだったりしたら面白いのに…とか期待していたら、
女に 幸あれ』という、コテコテのつんく歌謡を容易に想像させるタイトル。
派手にどこかにアジアの国に打って出るという話も、今のところまったく聞き及んでいないし、
ボクの思考は、その混沌さをさらに増しているところである。
そんな具合に、我が「大本営」の肝入りアジア展開が、なんか得体の知れぬ状況にある中、
隣国コリアや台湾などでは、その流れとは関係なく、独自に「モーニング娘。文化」の受け入れが行われている。


例えば、ここで以前取り上げた『キロツ(KIROTS)』という名のアイドルグループ。
別に本人たちが言った訳ではなく、あくまでファンが勝手にそう呼んでいただけだが、
「韓国のモーニング娘。」とメディアに大々的に取り上げられた事は、特筆に値する出来事だったように思う。
その後、リリースされた彼女らの楽曲とPVをチェックしてみたが、
ボクの当初の予想通り、その趣きはモーニングというよりはBerryz工房のようで、
ローティーンアイドルとしては、実にベタな感じの雰囲気を醸し出していた。
ちなみに、その後『キロツ(KIROTS)』は、本家よろしくメンバーの入れ替わりを経て、
そのテイストを少し変えつつあるようだ。興味のある方は是非ともチェックを。
ご当地モーニングは台湾にもいる。こちらは韓国版とは違い、少々大人っぽい感じの出で立ちの、
その名も『黒渋会美眉(ヘイサーフイメイメイ)』。
「番組に女の子が大勢出演している中から、数名が選ばれてグループ結成」
「基本9人のグループが、2つの違うグループに別れて活動する事もある」
「番組内で随時新メンバーのオーディションをしている」
と、何かどこかで聞いたことのあるような略歴のグループで、それをしてかどうかは知らないが、
彼女たちもまた、巷では「台湾のモーニング娘。」と言われ、国内では無類の人気を誇るのだという。


そんな流れの中、永久不滅のキラー・チューン『恋愛レボリューション21』が、
現地のシンガーによってカヴァーされているというニュースを最近目にした。
スーパーモデル出身のマルチタレントだというヒョニョン(현영)が、
1年2か月ぶりに、2枚目のシングルとして発表したのが、タイトルもズバリ『恋愛革命』。
ただ、これは独自路線という事ではなく、以前から彼女への興味があったというつんく大先生が、
歌詞監修として作品に携わっているのだという。つまり、我が軍のアジア戦略の一環だった訳だ。
ただ、このヒョニョンというタレントさんの日本進出の話というのもあり、
あるいはその商売っ気という部分での話であって、実際のアジア戦略とは異なるテーマという可能性もあるが、
いずれにせよ、向こうで我が軍の勢力が拡大していく一つの材料にはなりそうだ。


モー娘。へのオマージュ(別にパクリでも構わないけど)花盛りといったアジア各国。
そういう状況下で、本家本元であるモーニング娘。自身に求められる事。
それはおそらく「真似の出来ない事」ではないだろうかと思う。
「ザ・モーニング娘。」を正攻法で見せるというのも一つの手段ではあろうが、
せっかくメンバーも若返り、新生となったモーニング娘。なら、
何か既存のスタイルを打ち破る、そんな展開が欲しいものである。
今はパっと思い浮かびはしないが、向こうがどれだけ高い完成度で真似ても、
本家の味には勝てねえと思わせる、なにか特別なプロモーションがあれば、
今回のアジア戦略も、もう少し前進していくに違いない。

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