368「松浦亜弥、再起動」



松浦亜弥(Wikipedia)



日頃から「ハロプロは上質のアイドル集団」だと広言して憚らないボクの姿勢というものは、
おそらく、当コラムでも散々披露してきたと思う。


「アイドルとはその存在自体がエンターテインメントである」


そんなボクの持論に照らし合わせれば、彼女たちのアイドル性の高さは、
そのまま、エンターテインメントとしての質の高さに直結する。
歌。ダンス。楽しいおしゃべり。放つ雰囲気。
他の同業他者にはどうやっても到底太刀打ちできないほどの、
そのクオリティの高いパフォーマンスにボクは魅かれ、もう何年も何年も、ハロプロにずっと目を向けてきた。
早い話、ボクは、アイドルである彼女たちを、何よりもこよなく愛しているのだ。
だから、いつまでも彼女たちにはアイドル然とした姿でいて欲しいと思うし、
やがて、アイドルとは呼べないような年齢になったとしても、その精神だけは絶えず持っていてもらいたい。
断っておくが、今さら、彼女たちがアイドルなのか否かという事を、誰かと論ずるつもりはない。
よほどアイドルという言葉にアレルギーでもあるのか、こういう話題の時には、
必ず「彼女たちは決してアイドルなんかではない」と言い出し、様々な理屈で論破しようと目論む人が出てくる。
別に、人の意見に異論を挟むつもりもないので、勝手にやっててもらって構わないが、
彼女たちをアイドル視しないという人は、お気の毒だが、彼女たちの魅力の半分も味わえていない訳で、
ガチのアイドル好きであるボクとは、まず間違いなく相容れる事はないであろう。
とまあ、そんなボクではあるのだが、実は、現在のハロプロの中に、
「早くアイドルというポジションを脱して欲しい」と秘かに思っているメンバーが1人だけいる。
おそらく彼女は、アイドルという制約が解けた方が、
その魅力が、もっともっと明確な形で引き出されるタイプだとボクは睨んでいる。



前作『Naked Songs』から数か月。最近では、GAM以外でさほど大きなトピックも少なかった、
ソロ・松浦亜弥の再始動とも言うべき、ニューリリースの報が入ってきた。


彼女の持ち味は「歌」。そこに異論を挟む余地はないと思う。
確かに、「あやや」と呼ばれ、小器用にアイドルをこなしていた10代の時間というものがあって、
その時のインパクトが、今も彼女を支えていると言っていいだろう。
だが、もはや彼女が、アイドルである理由はない。
奇抜なルックスや、インパクト重視の振り付け。さらに鼻につくような喋りなど、
派手なギミックを用いずとも、歌という要素だけで、今や松浦亜弥という存在感は、確実にアピールできる。
むしろ、アイドルという肩書きが邪魔になる場面というものも、この先出てくることになるかも知れない。
ハロプロはアイドル集団」という大原則は、もちろん謹んで踏まえねばならないが、
彼女の歌が「生きる」為に必要なのであれば、様々な枠組みから一歩を踏み出すという事も、
彼女にとっては必要な事なのかなとも思ったりする。
そして、その一歩が、ハロプロにいい風が吹くきっかけとなれば、これほどハッピーな事はない。

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