361「CAN’T TAKE MY EYES OFF YOU〜SIDE A」



吉澤ひとみWikipedia



今から7年前。2000年の4月に、4期メンバーはモーニング娘。の一員となった。


オーディションが始まった時から、彼女たちをつぶさに見ていた者としては、
パーっと派手にやらかす辻ちゃん加護ちゃんが、大いに目立っていただけに、
後の二人に対しては、どうしても「大人しめのお姉さん」的なイメージを抱かずにはいられなかった。
実際問題として、タイプは異なれど、正統派と呼ぶにふさわしい美少女が2人並ぶ佇まいを見るにつけ、
おチビ二人の、なりふり構わぬギャースカ具合とのギャップとも相まって、
「きっとこのコらは、かわいい上に聡明ないいコちゃんなんだろうな…」みたいに思っていた部分はやっぱりあった。
確かにいいコたちには違いなかったが、「大人しめの二人」という、ボクたちの固定観念が、
必ずしも正しくないという事実が判明するのに、そう時間はかからなかった。
まさか石川梨華が、後に「キショおもろい」とまで言われるようになるほどの、
とんでもないオモシロガールだったとは夢にも思わなかったし、
「天才的にかわいい」とまで言われた吉澤ひとみが、その外見とはまるで正反対の、
ボーイッシュで男前なキャラクターだったなんて、本当、想像だにしていなかった。
そこに持って来て、例の二人がああいう風な調子でやっているというのだから、
つまり4期メンバーとは、問題児などと呼ばれていた、あの6期をも軽く凌駕するほどの
「個性のカタマリ」そのものであり、ボクたちが当初抱いていた、
「ちびっこ二人と、優しいお姉さん」の構図というものは、何の事はない。実はとんでもない見当違いだった。
そんな、個性派の4期メンバーが、手がつけられないほどのパワーを発揮し続けたからこそ、
モーニング娘。が、これほどまでの知名度と人気を獲得したのだと思うし、
オーディションで選ばれたのが彼女たちだったからこそ、4期メンバーは4期メンバー足りえたのだと思う。


その後、加入して1か月とちょっとで、早くも初舞台となる日本武道館の舞台に立った4人。
7年前のそのコンサートを、ボクはこの目で見ていた。
当時、保田圭を中心にモーニングを見ていたのボクの、ステージにおける耳目の中心は、
4人の初々しい初舞台では残念ながらなく(もちろん楽しみにはしていたけれど)、
卒業当日を迎えた、保田の盟友・市井紗耶香と、ラストステージとなる初代プッチモニだったが、
拙くも微笑ましいMCや、『真夏の光線』のア・カペラに挑む姿。
そして、一生懸命がんばってますというのがヒシヒシと伝わってきたダンスなど、
今でも「新メンバー」たちの初ステージの事はよく覚えている。
中でも、後に、二代目となったプッチモニに加入した吉澤ひとみの事は、
保田圭との関係、そしてその何とも言えない美貌も含めて、個人的に結構気にかけていた。
今だから言える話だが、「吉澤ひとみ推し」を標榜していた事も、実は一時あったほどだ。


あれから7年。


あの頃は、そもそも4期メンバーが将来どうなるかなんて事自体、あまり考えもしなかったけれど、
吉澤ひとみが、4期として一番最後までモーニング娘。にいて、
しかも、リーダーと呼ばれ、モーニングのみならず、ガッタスワンダフルハーツまでも、
持ち前のスポ根で立派に束ねているという今を、たぶん、誰もあの時は想像さえできなかったと思う。
なにせ、「物憂げでクールな美少女」が、彼女のキャラ全てだと、誰しもが思い込んでいたのだから。
そんな彼女が繰り出した、言わば「究極の予想外」とも言える体育会系気質によって、
特に若手の領域においては「部活化」の傾向がより顕著となり、
なによりもまず、チームプレイに徹する姿勢が、数多く見られるようになった。
そして、メンバーの低年齢化と、年長メンバーと若手との年齢差のギャップが拡大した事により、
一時は空洞化の兆しも見せていたハロプロにも、活気が戻る事となったのである。


体育会系で、男っぽくて、竹を割ったような性格で、豪快なイメージのある吉澤ひとみ
だが、その裏側には、知られざる「女のコ」としての姿も、チラチラと見え隠れしている。
もちろん、それはテレビやラジオでは絶対に伝わる事のない部分だが、
彼女のそういう「B面」な部分もまた、誰からも愛された、一つの理由なのかも知れない。

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