358「パチもん人生、味気なし。」



TV番組の複製DVD販売=モー娘など−スタジオ経営男を逮捕・警視庁Yahoo!ニュース)



「おー!とうとう捕まったか。」


一報を聞いて、そう思ったファンも多かったのではなかろうか。
コンサートに足を運んだ事のある者であれば、絶対に1度は目にした事があると言っても
大袈裟ではないほど有名な、あの海賊DVD露天商が逮捕された。
なんでも、この商売で稼いだ額はザッと1億ほどだと言うから驚きである。
1枚にすれば数十円の特売のDVDに、タダで見られる地上波の番組を焼いて、
それを「原価」の数百倍の値段で売りつける。確かにボロすぎる商売だが、
そんな、タダで誰でも見られる地上波番組の録画を、好き好んで数千円も出して買って、
彼らのボロい商売を後押ししていた「ダメなファン」が、殊の外たくさんいたという事にも大いに驚かされた。


いわゆる「バッタ」のグッズ露天もしかり。
「バッタの方がグッズのバリエーションが多いし、センスもいい」などと言われ、
会場内で盗撮された写真や、名前を無許可で印刷したグッズなど、
明らかに違法な商品が、ファンによって積極的に購買されているという現実は、誰しもが知るところ。
つまりそれは、ファンが違法行為に加担しているという事以外の何物でもないのだが、
手を染めている者たちの中にある「罪の意識」は、おそらく相当希薄であろうと思われるし、
また、多少の罪悪感があったとしても、人から後ろ指をさされる程までに悪い事だとは、
これっぽっちも感じていないのではないだろうか。


肖像権や盗撮の問題はもちろんだが、バッタグッズ最大の罪悪は、
特定の人間の懐に、多額の現金が転がり込むという点にある。
しかもその現金は、とんでもなくブラックな場所へと、最終的には流れ着く可能性もあるのだ。


例えば、Winnyやろだで売り物を落とす行為も、確かに良くない事ではあるが、
あくまでも曲や映像を提供するのは、提供者の「好意」であり、その好意の下でDLは行われる。
DLしたものを二次的に使って商売するのは論外としても、
個人が楽しむことを目的に行われる著作物の共有においては、一円の現金も動く事はない。
別にDL行為を擁護しようという訳ではないし、もちろん、著作権の観点からはゆゆしき問題ではあろうが、
タダ見・タダ聴きされているメーカーが少し損をする事以外は、取り立てて誰の懐具合にも影響を及ぼさない分、
行為の善悪はともかく、方向性としては健全と言えるのではないかと思うのである。
違法グッズの場合、落とした金の行き先が暴力団の資金源にさえなるような、
極めて「生々しい」金の動きというものがあり、そこにわざわざ金を落とすという事は、
そういうダークな部分に、直接的に関与しているという事の裏返しになもる訳で、
ただ単に目新しいグッズが欲しいというだけで、安易に露天に金を落とすという行為は、
ファンを標榜するのであれば、やはり慎むべきであろう。


それにしても、録画したものがそんなに売れるものなのか。
ちなみにうちには、2000年から録り貯めた番組の録画がテープにして100本近く残っている。
こんなものでも「お宝」になりうるのだとしたら、まあちょっと心が揺らぐところではある。

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