357「BACK TO THE Hello!Project 〜1999・奇跡」



1999Wikipedia



モーニング娘。が望外と言っていいスマッシュヒットを炸裂させ、
すっかり冷え切り、しばらく誰も足を踏み入れようとしなかった女性アイドル市場において、
企画モノとは言え、一定の成功を見た事に自信を深めた事務所は、
モーニング娘。を、単なる企画モノから本格的な「商品」として流通させ始めた。
そして、そのムーヴメントの中で必ず登場してくるであろう、
モーニング娘。の「亜流」としての存在を、自前のタレントのみならず、
「グループ内ユニット」と称して、モーニング娘。そのものからも次々誕生させる事で、
金にならないからと、大手事務所が敬遠していた間隙を突く形で、女性アイドル市場の独占を狙い始める。
果たして、その目論見はまんまとハマる事となり、
アップフロントは、一躍「女性アイドル界のジャニーズ事務所」と呼ばれるようにもなった。
そして、それらの亜流もひとまとめにし、Hello!Projectとして集団化させ、
この年の夏、ついに初めての「ハロコン」が開催されるに至ったのである。


だが、ハロプロが肥大化の兆しを見せるのとは裏腹に、頼みの綱であるモーニング娘。が、
主軸メンバー・福田明日香の離脱をきかっけに徐々に減速し始め、
シングル『ふるさと』のリリースの頃になると、つい1年前の勢いは完全に衰えを見せていた。
所詮は企画モノだと、見ている誰しもが「終わった」と感じ始めていた中、
スタッフの誰かが持つとてつもない強運が、スタミナの切れかかったグループに思わぬ「燃料」を呼び込む。


後藤真希。そして『LOVEマシーン』。


この一人と一曲が。このままフェイド・アウトするはずだった、オモシロ企画アイドルの窮地を救ったばかりか、
「国民的アイドル」という更なる高みへと引き揚げたというのだから、世の中解らない。
しかも、その後グループ内ユニットとして出したプッチモニも、その余勢を駆る形で大ブレイクし、
女性アイドルグループが、ミリオンヒットを立て続けに世に出すという、
常識をはるかに超えた「奇跡」が、ボクたちの眼前で繰り広げられた。
そして、この大逆転劇により、モーニング娘。という絶対的な柱を獲得した「亜流集団」ハロプロは、
より足腰のしっかりした、真のアイドル集団へと変貌。翌年以降の隆盛へと繋がっていく事になる。


今や、ハロプロは「モーニング娘。」という名前なしでも、芸能界の中でも十分成立する集団となり、
かつては絶対的存在だったモーニング娘。も、ハロプロの支柱であるという大前提はあるものの、
その佇まいは、大集団の中の一グループ以上でも、またはそれ以下でもない。
だが、ハロプロがそこまでの存在となれたのは、モーニング娘。という大看板があったからだという部分は、
今の状況がどうであれ否定する事はできないし、
ハロプロを愛する事すなわち、モーニング娘。を愛する事なのだと、ファン一人ずつが思う事で、
もっともっとハロプロは「長持ち」していくのではないかと、ボクは感じている。

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