354「BACK TO THE Hello!Project 〜1997・黎明」



1997年Wikipedia



ハロプロの始祖とも言うべきモーニング娘。が、今年「結成10年」を謳うという事は、
つまり、ハロプロの歴史は、今から10年前の1997年がその起点であると言える。
ただ、正式に「Hello!」の名称を使い始めるのは、翌年、同名のファンクラブが発足した以降の事なので、
そういう意味では、まだハロプロという集団はこの世に存在していなかったという事にもなるのだが、
現在のハロプロのルーツである、ASAYANの「ロックボーカリストオーディション」が開催されたこの年を、
ハロプロ元年」と位置付けても、差し支えはないだろう。
オーディションの合格者である平家みちよと、後にモーニング娘。となる落選組5名が、
世に初めて登場した、記念すべき1997年。
もちろん、今現在在籍しているメンバーの大半が、まだ普通の少女だった頃の話である。
ちなみに、℃-ute萩原舞は、ようやく「あんよ」を覚えたての1歳と7か月だった。


モーニング娘。のオーディションにおいて、合格者とは別に、
すっぱり手放してしまうには惜しい素材を「キープ」しておき、じっくり丹念に寝かせた後、
全く違った形で世に送り出すという方法論は、今やアップフロントの専売特許となった。
過去には里田まい藤本美貴が。最近では8期のオーディションでいいところまで行った吉川友が、
そのパターンをもって、ハロプロメンバーの一員となっている。
藤本に至っては、一度は落選したはずのモーニング娘。に、ソロ活動を経て加入し、
しかも、この先グループのリーダーになるというのだから、世の中面白い。
で、ここで、懸命な方ならばすでにお気づきかと思うが、この作戦、実は10年前と全く変わっていないのである。


落選組よりキープされた5人とは、もちろんモーニング娘。であり、
血の滲むようなレッスンの果て、ついにデビュー権を獲得した彼女たちは、
その後、一気にスターダムへと昇りつめる。
ただ、今と当時が違う点は、現在はカーテンの向こうで秘密裏に遂行されている素材のキーピングが、
当時は、テレビという白日の下で行われていた事。
そして、それ自体をオモシロ企画とし、何週にも渡って番組化されていたというのも、
今から思えばすごい事だった。


文字通りの「黎明期」に形作られた変わらない方法論。
そして、時間を経るごとにどんどんと様変わりしていくハロプロの風景。
そんな2つの要素が描き出す反比例曲線の絶妙なバランスこそが、
10年という長きにわたり、支持を集め続ける「鍵」であり、
今のハロプロの隆盛を支える、極めて大きなバイタリティとなっているのは間違いない。


そしてその翌年、ついにHello!Projectは、本格的にその歩を進め始める事になる。

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