346「さよならさえ言えなくて」



加護亜依 一部報道記事について(オフィシャルサイト)



残念無念。虚無至極。今はただそれだけで、何も言う事はない。


記事の在り方がどうであろうが、そんな事はもうどうだっていい。
そして、自覚が責任がと、本人や事務所を責めるつもりも、もはやない。
あともう少し我慢すれば、ハロプロという盆に返る事も夢ではなかった僅かばかりの覆水さえも、
彼女は自ら放棄し、一言の「さよなら」もないまま、ボクたちから遠い場所へと消え去ってしまった。
それでも一縷の望みを託し、その帰りを待っていた彼女のファンたちは、
帰るべき主を失った「彼女の戻るべき場所」に立ち尽くし、今、何を思うのか。
猛烈に切なくて、悲しくて、どうにもやりきれない感情を、明確な形でぶつける事ができぬまま、
またしても、紙切れ1枚のコメントで、全て承服しなければならないという、残酷すぎる結末。
彼女が選択した生き方が、多くの「犠牲者」を生んだという事実を、
ボクたちはたぶん、一生忘れてはいけない。


ボクは、この出来事をきっかけにして、あちら(メンバー)とこちら(ファン)がお互いに、
「信じる」「信じられる」という事について、深く考えていくべきだと強く思っている。


ボクたちファンは、彼女たちメンバーが、自分たちと一体の存在であるという事を、どこまでも信じていたい。


『一人一人の顔までは見えなくても、多くのファンが私にはいて、そんなファンに支えられて今の私がいる』
そんな風に彼女たちに思っていて欲しいと願うし、
例え「その他大勢」であったとしても、自分もファンの一員として数えられているという事に、
ボクたちは大いに安心し、そしてまた、彼女たちに愛情を注がんと努力する。
それはエゴなどではなく、アイドルという、不明確な虚像を追いかけるからこそ必要な
「心の拠り所」であり、例えそれが営業用のタテマエであったとしても、
ファンの持つ拠り所にアイドルの側が呼応する事で、両者には信頼関係が生まれる。
そして、そういう部分を巧みに突く事で、アイドルという商売は成立しているのだ。


買い物袋を提げて、交際している男性のマンションに出入りしたり、
男と一緒に、深夜のコンビニへ買い物に行ったり、
男友達とディズニーシーに遊びに行ったり、白昼堂々、道で男と仲睦まじく腕を組んだり、
そして、父親ほど歳の離れた男と泊まりの温泉旅行をしたり。
過去、ハローのメンバーが「やらかして」来た、ファンの心の拠り所を崩壊させるような背信行為の数々も、
例えば完全秘匿の状況であれば、それは本人にしか解らない事なのだから、ファンにダメージが及ぶ事もない。
ボクが常々言う「バレなきゃOK」の真意はそこにある。
しかし、実際の彼女たちには、善悪取り混ぜた様々な「視線」が、
1年365日絶え間なく注がれていて、その生活が100%秘匿されるという事は、不可能に近い。
そんな状態で、アイドルとしてのアイデンティティ、そしてファンとの信頼関係を保持する為には、
ある程度の自制心を持ち、ワキの甘い行動はくれぐれも慎むという、
タレントとしてごくごく基本的な事を、極めて忠実に遵守していくしかない。
過ぎてしまった事はもういい。問題はこれからである。
万が一、また「やらかし」が露呈したならば、「君には学習能力がないのか?」と、
ボクは容赦せずそのメンバーを責める事だろう。
もちろん、今回の一件で、背信行為の「末路」の悲惨さは十分にメンバーにも伝わったはずなので、
そんな「おバカ」なメンバーはいないとボクは信じているが、
とにかく、これから先、安心して見ていられるハロプロとなっていく事を、切に希望したい。


もちろんファンの側も、彼女たちに信じてもらえる存在でなければならない。
ストーカー騒ぎや、ワッチ音源、コンサートでの口汚いヤジなど、
ファンやお客という立場を大きく逸脱し、人間としてダメな者も多い。
確かに「アイドルはファンが生かしている」は真理だ。
しかし、だからと言って、最低限の信頼関係までもを裏切るような行為は決して許されない。
ファンの世界が無法地帯だからこそ招いた、現在のハロプロの「状況」であるという事を、
ボクたちはもっと実感するべきである。


でも、もう何を言っても、提示された事実が覆る事はないのだ。
それがなによりも、虚しい。





あいぼん!」


熱気に包まれた広大なコンサート会場で、あともう一度だけ、そう声の限りに叫びたかった。
あいぼんが笑って、みんなが笑って。そんな光景を、もっと見たかった。


全部夢ならいいのに。

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