345「『LU LU LU』〜GAM 3rdシングル」
ソロシンガーとしての彼女たちがそれぞれ持っている、存在感たっぷりのヴォーカル。
そして、二人ならではとも言える、息のぴったり合ったハーモニー。
見事なまでに、聴く者を捉えて離さない歌に関して、別段何の文句もない。
ビジュアル面だって、彼女たちが醸し出したい雰囲気というものは十分に伝わってくるし、
男として、向こうの策略通りに「グっと」きているのは間違いない。
そしてなにより、その安定感である。
キャリアのなせる技と言ってしまえばそれまでだが、わずか3枚目のシングルにしての、
このユニットとしてバランスの良さには、もはや、貫録すら感じてしまう。
ユニットのクオリティとしては、まさに完璧と言っていいGAM。
だが、あまりにデキの良いユニットであるが故、気にかかる事がある。
一体、GAMとは何なのだろうか。
ボクは最初、GAMというユニットを、かつての「ごまっとう」「後浦なつみ」「DEF.DIVA」など、
一連のスペシャルユニットの続編だという風に捉えていた。
ソロ組をグループに束ね、全く違う毛色の楽曲で、更なる特別感を出す。
毎年恒例の、そんな「お約束サプライズ」の流れの中に、
GAMも当然位置しているものだと、ボクは思いこんでいた。
だが、例えば「美脚」であったり「セクシー」であったりという具合に、
結成当初から、明確なユニットコンセプトが与えられていたり、
一発勝負が常だった中で、3枚ものシングルを切ったりと、
GAMは、明らかに、これまでのユニットとは一線を画する存在であるかのような扱いであり、
そういったあたりを見て、つまりこのユニットは、今までのように、
ただソロの人員が呼び集められただけというものではなく、
「何か」を期待されて作られたユニットなのだなあ…と思ったりしているのだが、
残念な事に、その「何か」が、ボクには未だ、今一つピンと来ていない。
t.A.T.u.を意識している事は本人たちも語っているので、
そういうイメージから、同性のファンを惹きつけるのが狙いなのかと言えば、
今のところ、特にそういった方面への展開は行われていないし、
ハロプロ初の本格Sexy路線というのにしても、すでに後藤真希が先発しているので、
わざわざGAMが後発で乗っかっていく必要性もない。
そうなってくると、GAMというユニットを、作り手が一体どう使おうとしているのかが解らず、
結局、今までのスペシャルユニットと同じようにしか見えてこないという部分は否めない。
せっかくここまでクオリティの高いユニットで、上手く使いこなす事ができさえすれば、
ハロプロという集団全体の、人気実力の底上げにも繋がるような存在であるにも関わらず、
それがほとんど活かされる事なく、ユニットのカラーとは全く正反対の、
楽天の応援などに駆り出されたりするというのだから、実に勿体ない話ではある。
巷では、元気のない松浦亜弥を「救済」する為のユニットだなどと、口さのない話も聞くが、
明確な存在意義がない以上、そんな噂が出ても仕方がない部分もある、
まず作り手には、早急に「GAMの在り方」についての見解を、ファンに提示してもらいたいし、
その上で、これほどのユニットを腐らせてしまわないよう、
ツアーが始まる頃までには、GAMの「しかるべき方向性」を見出していただきたいものである。