338「価値と万札」



ハロー!プロジェクトの活動スケジュール(オフィシャルサイト)



以前に比べれば、数もバリエーションもずいぶん多くなったハロプロのイベント。
なにせ昔は、コンサートツアーとリリースイベント、
そして、それに付随する握手会くらいしか、あちらと触れ合う選択肢がなかった訳で、
その事を思えば、ワンチャンスで、いとも簡単に至近距離のハロプロメンバーに会えてしまう今という時代、
実に素晴しいものだと、つくづく感じることしきりである。
だが、その「いい時代」の代償は、どこまで行ってもやはり「命の次の2番目」である事だけは忘れてはならない。
それがファンとしてのステータスであるとばかりに、偉大なる福沢諭吉大先生を、
ジャブジャブと湯水のごとく溶かし続ける行為が、身体と精神に良いはずなどもちろんなく、
それだけの身銭を出せる「価値」が、そこに存在するか否かを見通せる力と、
そして、その己が見出した価値を、最後まで己の中で信じ通すことができる強い自信は、
ファンをやっていく上での、必須適性なのではなかろうかとボクは感じる。


過日行われた、Berryz工房のFCバスツアー。800人定員に対し、実に1000人以上もの応募があり、
連ねた大型観光バスは、全国合計27台にも及んだというのだからハンパではない。
まあ出した旅行代金の価値感は、参加者それぞれ違うだろうし(まあ大半は満足だろうけど)、
それをここでとやかく言うつもりもないが、参加者ではない人間から見れば、
「まあ、こんなのに、よくこんだけ出せたね」と思わせる中身だった事には間違いない。
それは内容がどうというより、むしろイベントの運営力の問題なのだが、
例えば、ライブイベント終了時間の帳尻を合わせる為(メンバーは夜9時を超えて出られない)、
宿に到着して、休む間もなく食事させられたり、
そのライブの会場まで、宿舎から1時間以上バスに揺られて移動したり。
確かに、普通の旅行に加えられた、ドキドキワクワクな「付加価値」こそが最も重要なのだというのは解る。
というか、その付加価値がFCツアーの全てであると言ってもいいだろう。
でも、本当にそれでいいの?と、ボクはあえて問いたいのである。
付加価値は、付加されたものであるからこそ、独特の「特別感」を放つのであって、
それがメインになって、同じくらいの旨味が出るとはボクは思わない。
そして、あまりの人数の多さに、イベントの中身のきめの細やかさが欠けてしまっては、
握手とポラ目当てのファンですら辟易としてしまうのは、ある種致し方のないところだろう。


少しの金で夢が買えるのなら、誰だって買いたいと思う。
けれど、金と引き替えにできるだけの、果たしてそれは夢なのか。しっかり吟味する事も、時には必要。
そして、一旦下した判断ならば、それに忠実に動く事。
女々しく後から「しまった」などと後悔せぬよう、己を信じるべし。
さすればきっと、ファンとして一皮剥ける事、間違いなしである。

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