335「℃-ute 可能性の道2007・春」



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アップフロントお得意とも言うべき、下積み的インディーズ展開を経て、
ついに℃-uteがメジャーシーンに飛び出して行った。


ボクらハロプロファンからすれば、彼女たちはもはや見慣れた聴き慣れた「当たり前」の存在であり、
新しいシングルが出るというのも、決して特別な事ではない。
だが今回は、ボクらが生きる「井の中」、すなわちハロプロ界隈だけで完結する話ではなく、
彼女たちの事を全く知らない人たちばかりの世界、言わば「大海」が相手となる訳で、
これから事務所は、然るべきレベルの「ヒト」と「カネ」を準備し、
今まで以上に大掛かりに、そしてシステマティックに、彼女たちを売り出しにかかる事になるのだが、
そこで、気になる事がひとつ。事務所は℃-uteを、一体どういう風に売ろうと思っているのか。
そして、そこに「勝算」は、果たして存在しているのか。
ボクには、そのあたりが、どうも曖昧な感じにしか映ってこないのである。


そもそも、メジャーレーベルでシングルを切るという「形式変更」だけが目的で、
これまで通り、コアなハロプロファンだけを相手にやっていくというような方向性なのだとするならば、
リリースにしてもメディア露出にしても、インディーズという枠の中で、これまで別に何不自由なくやってこれた訳だから、
はっきり言ってボクは、メジャーでの展開など必要ないと思うし、
むしろ、メジャーに乗せれば、それなりのリスクが生じる可能性があるという事も考えれば、
それは℃-uteにとってあまり好ましい事ではないとさえ思う。
やはりボクは、事務所が彼女たちをメジャーに乗せ、一定の結果を出そうとしているのだと信じたいし、
だとすれば、どんなビジョンが作り手にはあるのか、大いに気になるところなのである。


ものすごく単純に言ってしまえば、Berryz工房との差別化をどこで図るか、という事だと思うのだ。


同じような年代の女のコで、同じ7人グループ。歌う曲もそっくり(作っている人間が一緒だから当たり前なのだが)。
ボクらならばよく解る、ふたつのグループの間の明確な毛色の違いも、
外の人には、おそらく全く理解できないのではないか。いや、たぶんまず無理だろう。
つまり、℃-ute成功への第一歩は、まずそういう有象無象の中から脱する事だとボクは思うし、
後発の彼女たちだからこそ有効な立ち回りで、知名度を確実に増やす事は可能だ。
要は「これが℃-uteで、そうでないのがBerryz」と人に説明する中での、「これが」の部分を構築すればいいのである。
例えばCM。BerryzにはCM出演の経験がないから、
「○○のCMやってるのが℃-ute、そうでないのがBerryz」という説明は成立する。
メンバー全員が出なくても構わない。その昔、矢島舞美アフラックのCMに出ていたりしたが、
アフラックやってるコがいるのが℃-ute、そうでないのがBerryz」でもOKだ。
このご時世、メンバー全員でテレビのレギュラーなどは無理でも、
メンバーの一人がCM出演くらいは、なんとなく脈もありそうではないか。
というか、それなりの金をかけて出すのだから、事務所もそのくらいのセールスはするべきだ。
そうして知名度を徐々に上げていき、対外試合にも太刀打ちできるだけの存在になってくれれば、
ハロプロという集団の価値も、さらに引き上げられるのではないかとボクは思っている。


当然ではあるが、インディーズ時代のように、常連さんが贔屓にしてくれるばかりの日々ではなく、
確固たるビジネスである以上、シビアにプロセスと結果が求められ、
時には、気に染まないような事も強いられるだろうし、経験した事のないような試練も味わうかも知れない。
でも、彼女たちの若さと笑顔は、そんな厳しい現実をもきっと凌駕するに違いない。
そして待ち受ける薔薇色の未来は、彼女たちをそっと手招きしているのである。

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