330「『笑顔YESヌード』〜モーニング娘。32thシングル」



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『サマーナイトタウン』『LOVEマシーン』『ハッピーサマーウエディング
Mr.Moonlight〜愛のビッグバンド〜』『シャボン玉』、そして『色っぽい じれったい』。
何気に並べたこれらの曲には、とある共通点がある…
なんて、クイズ風にまどろっこしく言いまわす必要など、まあおそらくないだろう。
今回の『笑顔YESヌード』も同類項と来れば、ファンの誰もが解ってしまう、それは簡単な法則性である。
それでもピンと来ないというお疲れ気味の方は、本稿を最後まで読み進めていただいて、
是非とも「あー、なるほど」の一言を賜りたいと思う。


新人メンバーのデビュー作の歴史というのは、つまり「意欲作」の歴史でもあった。


モーニングコーヒー』の清純路線を木っ端微塵に打ち砕き、全く毛色の違う楽曲に花を添えた2期メン。
低迷期にあったグループを見事に再生させた、グループ最大のメガヒットと後藤真希
懐かしいニオイのするダンスミュージックと、アイドル歌謡の奇跡的な融合によって、
国民的アイドル「モームス」の形が完成を見た4期メン時代。
その後も、モーニング娘。という存在そのものがエンタメなのだと言わんばかりに、
タカラヅカに、ビッグバンドに、西城秀樹に、フラメンコと、
ジャンルを超えて、とにかく「新しい事やろう」というのが、新メンデビュー戦の常だった。
そういう期待感があった分だけ、正直に言ってしまえば、
今回の『笑顔YESヌード』には、少しの物足りなさのようなものを感じたりしている。


確かにいい曲には違いないのだが、解禁後に何度か聞いた現時点においては、
至って普通のモーニング娘。の楽曲だなという印象が強く、
何とはなしの、そんな「当たり前感」が、ボクに凡庸というイメージを抱かせているのだろう。
例えば『シャボン玉』で、いきなり田中れいなが歌い出しを決め、
「おおお」と驚嘆する間もなく、場末感漂う歌謡曲チックなメロディラインが流れ、
一気に目と耳が奪われた、ああいうゾクっとする展開を、
事前に予想し、大いに期待していただけに、なんというか、少し拍子抜けした感がなくもない。


それとも、表面的には見えない部分に、これまで通りの【新メンバー=新境地】の
黄金則が散りばめられているのだろうか。あるいはそうなのだとしたら、
こんな事をしている場合ではない。その見えざるエフェクトが、ボクの前に姿を現すようになるまで、
何回でも何十回でも、曲を聴きこまないといけないのだから。

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