329「ハロ☆プロ オンステージ!2007 「ROCKですよ!」」



後藤真希とメロン記念日がバンドを従えて登場!!(オフィシャルサイト)



後藤真希メロン記念日がバンドサウンドで魅せる、
今までになかったロックでパワフルなハロプロライブ!
さらに日替わり曲もある、見所満載のライブです!
オープニングからエンディングまで盛り上がること必死のこのライブを、絶対に見逃すな!!


諸事情あり、おそらくは春先までコンサートを控えるはずだったボクを、
急遽参戦の方針に方向転換させたものは、公式サイトに掲載されたそんな「誘い文句」だった。


耳に楽しい、バリエーション豊かな音作りが進み行く一方で、
良さを最大限引き出す為には、その作られた音でしかパフォーマンスが許されない、
つまり、音楽的な汎用性の乏しさが、ハロプロの楽曲に感じられるようになった昨今。
それをして、ハロプロ界隈のコンサート活動は、今でも事あるごとに「カラオケコン」などと揶揄されていたりする訳だが、
昨年、松浦亜弥がリリースしたアルバム『Naked Songs』に象徴されるように、
ハロプロと生音の共演というものが、今、改めて見直されつつある。
そして、個人的に、一昨年の暮れあたりから、「ハロプロと生音(特にバンド)」というテーマについて、
ずっと造詣を深めてきたボクにとってそれは、実に喜ばしい傾向だと言えた。
もともと、コンポーザーであるつんく♂は、ギターを用いて基本のメロディーを組み立てている訳で、
積み重なった「飾り」を慎重に1段ずつ取り除いていけば、
最終的に姿を現すものは、生音でも映えるサウンドである事には違いないとボクは考えるし、
実際、モーニング娘。の初期のコンサートは生バンドをバックに行われていた事もある訳で、
ボク自身がプレーヤーとして、ハロプロの音楽を奏でるという行為を経て、
ハロプロ楽曲の本当の良さのような物が引き出せないかと、ここのところは、そんな事ばかりを考えていた。
そこにきて、上のような誘い文句で迫られたとあれば、
それはもう、ボクの脆弱な決意など、いとも簡単に揺らいでしまう事は必然であった。


いわゆるカラオケコンとの決定的な違いは、音に宿る「存在感」の有無。
完パケにしたカラオケというのは、各パートの楽器のレベルや強弱が、
すでに平均化されて録音されているので、音として非常に平面的だ。
もちろん、その方が、しっかりと作りこんである分だけ耳に馴染みやすく、
デキも極めてソツのない感じに仕上がるが、胸にいつまでも残るような存在感にはどうしても乏しくなってしまう。
その点、生楽器から直接出てくる音は、カラオケなど比べものにならない程に立体的で、
しかも、その立体感ある音が、立体感を残したまま我々の耳へと入ってくるのだから、
カラオケの音と比較した時に、音の存在感に、ある程度の差が生じるのは仕方がないとも言える。
今後、今まで通りのカラオケコンが展開されていく事だろうが、
おそらく、今回のコンサートの迫力が、比較においての「高いハードル」になる事は間違いないだろうし、
「生バンなしでは生きていけない」なんて事になったら…などと、いささか心配ではあったりするのだ。


それにしても、音自体が存在感を放つような、ハイレヴェルなステージの中、
その状況を活かし切り、見事なパフォーマンスを披露した後藤真希メロン記念日は実に素晴しかったし、
セットリストも、硬軟取り混ぜた絶妙の構成。特にラスト数曲の畳みかけには、参りましたの一言だった。
近年にない充足感と達成感をもらって、内容的には素直に100点を差し上げつつも、
あえてここは120点満点とし、残りの20点分に偏屈ぶりを述べさせてもらうならば、
ごっちんとメロンでロックバリバリというのは、いかにもハマり過ぎの感。
盛り上がりも、会場の熱さも、なんとなく「なるべくして」という印象だったような気が少しした。
まぁ、そんな難癖も、あのパフォーマンスの前には、所詮単なる戯言だったけれど。

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