326「6期の真実〜田中れいなはありのままで行け!」



田中れいなWikipedia



加入当初は6期メンバーの「目玉商品」だった。


加入して最初のシングル『シャボン玉』で、唄い出しの大役にいきなり抜擢された事もそうだし、
なにより、モーニング娘。にとって、中澤裕子以来の登場となる「明確すぎる」ヤンキャラは、
多くのファンを惹きつけたのと同時に、「これは相当な逸材に違いない…」と、大きな期待感も抱かせた。
ネイティヴの博多弁。キツめのキャラクターなのに、どこか愛らしいベビーフェイス。
さらに、有名人と同姓同名だというなんとも豪勢な「おまけ」までついて、
それまでのモーニング娘。には、あまりいなかったタイプの新メンバー・田中れいなの存在は、当時、とにもかくにも新鮮だった。
…なんて、こんな風に過去形で語ってしまうと、今はまるでダメになってしまったような風だが、
無論、そんな事は全然なくて、今ではモーニング娘。の紛う事なき中心メンバーとして、
歌にもビジュアルにも、彼女という存在は絶対に無くてはならないものだ。
たった数行の文章だけで、シレっと簡単に彼女の今昔を振り返ってしまったような感じになったが、
実は、彼女のモーニング娘。のメンバーとしての道のりは、
みんなが考えているよりもずっと、凄みのようなものがあるのではないかとボクは感じている。


田中れいなという存在、そしてそのキャリアは、
デビュー時すでにアドバンテージを持っている者が、さして大きな壁にぶつかる事もなく、
タレントとして大成していくまでの「理想像(形)」そのものだとボクは思う。


田中れいなの新人時代は、前述のように、様々な「目新しさ」に彩られていて、
言ってみれば、多人数のグループの中から、頭一つ抜け出す事ができるアドバンテージを、
芸能活動を始めてすぐの段階から、すでにその掌中に収めていた訳である。
そんな、顔や名前を売る恰好のチャンスをずっと手にしながら、
実はこれまで彼女は、それほど、そのメリットには寄りかかってこなかった。
もちろん、ヤンキャラであったり博多弁であったりという部分を、全く利用していなかったという訳ではなく、
自らキャラを明確にさせるべく、むしろ積極的に「有効活用」をしてきたのには違いない。
だが、目新しさだけでチヤホヤされる時期が過ぎ、タレントとして、新しいステップを要求されるようになった時、
「私にはこれがあるから」などと、自らに標準装備されたメリットを保険にし、
あえて殻を破らずに過ごすというような怠慢を見せることなく、
彼女は、田中れいなというタレント・イメージと、常に真正面から向き合ってきた。
一等最初のピンと尖ったイメージから、時間の経過と共に、鋭さは残しつつ、
それでも少しずつ丸くなり、ついに彼女は「愛くるしいヤンキャラ」という、
田中れいなオンリーワンのチャームポイントに辿り着く。
それはもちろん、彼女自身が、どうすればもっとみんなから見てもらえるかという事を、
つぶさに研究し、試行錯誤を繰り返した結果。
また、あまりに強過ぎたインパクトに縛られ、次の段階への歩をなかなか進められないという、
即戦力ルーキーには極めてありがちな、そんなジレンマとも無縁だった。
期待の新人として要職に抜擢され、普通ならば、浮かれて慢心の一つくらい見せてもなんら不思議ではないのに、
地に足をしっかりとつけて、己をステップアップさせるためのプロセスを、着実クリアしてきたのだから、
素直に凄い事だな、とボクは思ってしまう。


彼女が、そう在る事のできる理由。
それはおそらく、無理に背伸びをしたり、身の丈に合わない借り物を使ったりせずに、
「ありのままの田中れいな」を貫いているからではないかとボクは考える。
等身大の自分なら、その魅力もウイークポイントもよく解っている訳だし、
どんなバリエーションをつければ、自分が一番輝けるのかも、当然研究しやすい。
つまり、『田中麗奈』というスタートラインを、彼女が常にベースに置いていたからこそ、今の『田中れいな』は誕生したのであり、
そんな彼女が牽引するモーニング娘。の未来は、田中れいなの「ありのままっぷり」が、
あるいは、その鍵を大きく握っているという事なのかも知れない。

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