317「羨望」



FRUITY KILLER TUNEamazon.com/購入もできます)



「今、モーニング娘。のファンとしてあなたは満足か?」


そんな風に問われたとする。当然、「もちろん。」と胸を張って言える自信はあるつもりだ。
けれど、絶対的に全てが思う通りのファン生活かといえば、
もしかすると、いや、明確に首を縦に振ることはできないかも知れない。
不満めいた事は、過去も現在もたくさんあるし、このコラムにも、そういったものを幾度と無くぶちまけてきた。
だが、見ている方が不満を抱くような仕事を強いられているのは、他でもない彼女たち自身であり、
職業として与えられた「お仕事」を、嫌な顔ひとつせず、きちんと全うしようとする彼女たちに対して、
思慮の無い不平不満を垂れる事は、ファンを標榜する者の仕業とは到底言えない。
いかなる時も、ファンは「味方」でなくてはならないという持論に則り、
なにがあろうと、ボクは、最終的には全肯定というスタンスでここまでやってきた。
でも、「これは事務所がやらせてる事。彼女たちは関係ない…」と、念仏のように唱えてはみても、
自分的に肯定し兼ねるトピックを、はいそうですかと受け入れる事はかなり辛く、
あらゆる不満をグっと堪えるたび、ボクの内面にストレスは蓄積されていくのだ。
そんな葛藤を繰り返しながら数年。
今では「それがファンというものだからしょうがない」と、状況をすっぱり割り切る術を覚え、
ストレスを無理に忘却する事で精神の安定を図るという、とても身体に悪い状況が続いている。


最近のメロン記念日を見ていて思うのは、ボクが日ごろ抱いているジレンマやらストレスとは全く無縁の、
まさに「フリーダム」がそこにはあるなという事である。


もともと、活動に縛りがあまりなかったメロンだが、今この時期に来て、
自分たちのやりたい音楽を、自分たちのスタンスで、
そして自分たちを本当に愛してくれる「仲間」たちと共に大いに楽しんでいる姿がやけに目に付く。
演っている方も、そして観ている方も、決して何も我慢していないし、
だからこそ、生み出されるパワーは、比類なき甚大さを持っている。
それだけでも、メロン記念日とその共犯者たちが、ただ単純にとても羨ましく思えるし、
なにより、今やモーニング娘。に続くハロプロユニットの最古参とも言える彼女たちなのに、
そんな事実を全く意識する事もなく、既成の壁を率先してぶち破る存在として、
攻めの姿勢を決して崩そうとしないスタンスが最高にカッコよくて、
こちらとしては、ただただ「すげぇな」と呟くしかないのである。
おそらく、メロンをこよなく愛するファンたちは、自信を持って大好きなメロンと向き合っている事だろうし、
それこそが、本来ファンが持つべき「健全な精神」なのだとボクは思う。
そして、その精神を、ファン一人一人の心ににしっかり宿らせたものは、
メロン記念日というグループの魅力と、そして、力の限り体現してきたパフォーマンスの全てに他ならない。
「このグループにして、このファンあり」。
そのあまりの一体感には、妬みさえ感じてしまうほどである。


果たしてモーニング娘。のファンであるボクが、そんな健全な精神を手に入れ、
演者ともども、何物にも縛られない、伸び伸びとしたファン生活を送れる日がやってくるのか。
もちろん、ボクの心の持ちよう一つだというのは、よく解っているのだが。

74429