309「7.5 冬冬モーニング娘。ミニ! 」



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モーニング娘。という果実を力いっぱいぎゅっと搾り、
そこから溢れ出てきた果汁をさらに裏ごしして、アイドル味の部分だけを抽出した、
言うなれば「アイドルポップス濃縮還元アルバム」ともいうべき趣き。
『7.5 冬冬モーニング娘。ミニ!』を聞き、それがまず抱いた印象だった。


アイドルポップスとは、アイドルが唄う歌の事。
つまり、アイドルが唄えば、どんなジャンルの曲でもアイドルポップスになる。
だが、言わば何でもアリのそんな世界の中にも、実は、文言では表現しにくい「一定の形」があって、
おおよそ、巷のアイドルポップスというものは、その範囲内にすっぽりと収まっているものなのだ。
それってどんな形?と言われると、なかなか説明する事は難しいのだが、
今回のアルバムに収められている楽曲がそうだ、と言えば何となく解ってもらえるだろうか。
これを読んでいるあなたが、このアルバムを聴いて感じた事。
おそらく、それがそのまま、アイドルポップスの形であると考えてもらって差し支えない。
まさにセオリー通りの、「This is アイドルポップス」。
アイドル一筋20年。これまで数多のアイドルポップスを耳にしてきた経験から言えば、
当然、「極上」と呼んでも差し支えない楽曲もあったし、
トータルバランスで言えば、十分及第点をつけてあげられる、そんなデキだと思う。
だが、ボクの中で満点をつける事は難しかった。なぜなら、あまりに凡庸すぎたからである。


モーニング娘。はアイドルなんだから、別にベタなアイドル歌謡を唄っていてもおかしくないし、
事実、持ち歌を見渡してみても、それっぽい曲は多い。
だが、アイドルなのに、アイドルらしからぬ楽曲を、
それもほぼ完璧に歌いこなしてしまうところに、
モーニング娘。というグループの格好よさというものが実はあって、
そんな格好よさと、ベタなアイドル歌謡とのコントラストが、彼女たちの曲の魅力だったりもする。
ボクが感じた物足りなさは、まさにその部分にあって、つまり、ベタ一辺倒で作り上げられた
今回のアルバムには、意外性というものがなく、作品のデキは良いかも知れないが、
なんとなく当り前過ぎるのでは? と、いう気がものすごくするのだ。


以前も書いたが、ここはやはりフルアルバムが欲しい所だった。
せめてあと4曲ほど、格好よい感じの楽曲を用意できれば、
曲数は十分事足りただろうし、モーニング娘。の本当の「良さ」がわかる
出来栄えとなったかも知れないのに。

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