304「『リボンの騎士』とは一体なんだったのか〜プロローグ」



リボンの騎士 ザ・ミュージカル DVDamazon.com/購入もできます)



2006年もあと1ヶ月足らず。今年もそろそろ一年を回顧する文章を紡ぐ時期になった。
先日、その準備のためにと、今年書いてきた130本ほどのコラムを見返していたのだが、
読み進めるうちに、ある一つの思いがふつふつと沸き上がってきた。
それは他でもない『リボンの騎士 ザ・ミュージカル』の事である。


モーニング娘。のミュージカルといえば、
春ツアーが終わり、8月の夏のハロプロまでの間にやってくる、モーニングにとっての恒例行事であり、
演者である彼女らにとっても、そしてお客であるボクたちファンにとっても、
おそらくそれは、何ひとつ特別な事ではなかった。
そして、内容も、クオリティも、決して安くないチケットの価格も、
そういうものを全部ひっくるめた上での舞台の「価値」も。
ボクたちにとっては、実はそんなに重要な事ではなかったような気がする。


モーニング娘。が出ている」


その一点だけが拠り所であり、それ以外の事なんて、正直あまり深くは考えなかった。
適正に舞台の内容を評価するというより、どれだけモーニング娘。らしさが出ていたか。
他ならぬ、彼女たちが主役の舞台。そして、それを見る目的で客は足を運ぶのだから、
内容はともかく、いかに彼女たちの個性が引き出されたステージであったかが、
ボクたちにとってはまず重要であり、例え、内容的に見るべきものがなかったとしても、
ある程度のところで、「まあ」などと納得してしまっていたフシがある。
そんな、馴れ合いの境地にあったボクたちのミュージカル感が、
今年2006年、根底から覆されることになった。


リボンの騎士 ザ・ミュージカル』という作品を大成功に終わらせた、
という純然たる事実と大いなる自信が、モーニング娘。というグループにとっての、
非常に大きな財産となったのは間違いないし、
リボンの騎士という作品を通して得られた「経験値」が、
グループの今後の活動に作用していく力は、おそらくとても大きなものである。
言わば、グループの有史以来、それは最も大きな転機だと言えるかも知れない訳で、
そんな歴史的な作品について、果たして他の出来事と一緒くたに
語ってしまって果たしていいものなのだろうか。
特に、今回作品がDVD化され、それを改めて鑑賞した事で、
ボクの、リボンの騎士に対する思いは確実に変ったと思うし、
8月の観劇当時に、ボクが作品に抱いていた印象の再検証も含め、
他の出来事とは切り離した形で、改めてリボンの騎士と対峙する必要があるのではないだろうか。
2006年を足早に括ってしまうその前に、まずはやっておかなければならない事。
時間が経ち、ある程度事象を冷静に見つめられるようになった今だからこそ、
敢えて、少しばかり時間をかけて考察をする事にした。


「『リボンの騎士』とは一体なんだったのか」についてを。

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