300「300回」



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初心忘るるべからず。


「いつだってそうあらなきゃ」と、頭の中で強く思ってはいても、
日々の生活に夢中になるうち、いつの間にか己の中に確かに存在していたはずの初心は、
ぽつりとどこかに置き去りになってしまっている。
人間だから仕方がない、と言えばそれまでだが、置き去りにしてきた物の中にこそ、
今、この時間の自分にとって、絶対的に必要な何かが隠れているのだとしたら、
もっともっと、初心というものと真剣に向き合わなければならない。
なぜかは解らないが、最近、そんな事をよく考える。


「この先何があろうと、モーニング娘。ハロプロをこよなく愛し続ける」
2年前、このコラムを始めたとき、ボクの中にあった初心はただそれだけだった。


本当にいろいろな事があって、毎日生きているのが心底重かった時期。
ちょっと油断すれば、確実に錆付いてしまったであろう心と身体を、
魔法のように癒し続けてくれたのは、ハロプロのメンバーだけだった。
寂しい話と人は笑うかも知れない。
だが、ある日突然、それまで煌々と輝いていたともし火が一瞬にして全て途絶え、
閉ざされた闇の中にその身を放り込まれてしまった時、
這いつくばって、手探りで進み行く先に見つけたほのかな光に、
「救い」を見出すのは当然のことであり、
己の撒いた種とは言え、あらゆる物をその手から取り上げられ、
何も考えずに、ただ空気を食らって毎日を生きるしかなかった、
廃人同様のボクにとっての、ほのかな光であり、救いとなったのがハロプロだったのである。
彼女たちに「再生」してもらえたこそ、今のボクはある。
そんなボクができる精一杯の恩返し。
それは、彼女たちが好きだというこれまでの思いを、変わらずに持ち続ける事。
そして、どんなシチュエーションにおいても、片手間にファンをするのではなく、
良し悪しの判断が自分の中でしっかりとできるくらい、彼女たちの活動と真剣に対峙する事。
そんな「思い」を具現化するべく作り上げたのが、何を隠そうこのコラムなのである。


ここ数ヶ月の間に、そんな初心をまたどこかに置き忘れてきてしまったらしく、
そんな事ではいけないと思いつつも、身体は正直に別の楽しい事を欲している今の暮らし。
コラムを日々したためる事で、見失った初心を再び見つけ出す事ができるといいのだが。

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