299「『のんの19』〜辻希美2nd写真集」



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なんというか、どうしても「黒ビキニ」だとか「オトナっぽい表情」だとか、
そういうピンポイントな見所に目を奪われてしまうのだけれど、
もちろん、そんなものに単純に喜ぶ事が、この写真集の適正な味わい方などではない。


古くからのファンならば、過去にビデオに録り貯めた番組群の、
それも歌番組のトーク部分やハロモニ。の初期あたりの映像を。
そういうものを残していないならば、ミニモニ。の初期や、
2001〜2002年あたりのモーニング娘。が登場するDVDなどを、まずは用意して欲しい。
そして、4期メンバー加入直後から、モーニング娘。が大ブレイクした時期を経て、
第1期ミニモニ。が終焉を迎えるあたりまでの映像や写真資料の、特に辻希美をつぶさに観察し、
いかにこの女の子が「とんでもねえ」存在であったかを再認識するところから、全ては始まるのである。
特筆すべきは、あいぼんこと加護亜依との超絶なコンビネーションから繰り出される、
とてつもない力を秘めた「アホアホパワー」の驚異。
最初のうちこそ、こちらもケラケラ笑って見ていられるが、
ある一定時間以上長らく見続けていると、2人の意味なく強大なパワーに徐々に体力を奪われ、
気がつけば、見ているこちらが、ものすごく疲弊してしまう。
そんな独特の雰囲気を持った彼女の過去を再確認、
あるいは味わった事のない人には追体験してもらった上で、
改めて今回の写真集『のんの19』と向き合う事を、ボクは強くオススメしたい。


まあ、その「外見」の劇的な変化に感動すら覚えるに違いない。
番組で事あるごとに、さんざんデブネタでイジられていたあの辻ちゃんが、
黒いビキニもバシッと映える、グラマラスなスタイルになったという事実について、
断片的に漏れ伝わる彼女の食生活を聞けば、俄かには信じがたいのではあるが、
目の前の写真が、それが純然たる事実なのだと如実に物語る。
そして、水着姿で佇む物憂げな表情からは、ほんのり色香までが漂うというのだから、
昔を知る者にとって、それは奇跡としか言いようのない辻ちゃんの華麗なる変貌ではある。
だが、その一方で、辻ちゃんの「中身」の部分というものが、
実はそんなに変わっていないのではないか、と思かったりする部分もあり、
そう考えれば、辻ちゃんという人はスゴいなぁ、と改めて思わざるを得ないのである。


普通、19にもなってアホな事を言ったりやったりしてれば、
それがタレントであれなんであれ「オトナとして非常識」だと取られてしまうようになるものだ。
一種のボケとして、アホを装う事はともかく、仮にも年齢を重ねて来ている訳だし、
天然でのブッ飛んだ言動は、徐々に収まっていくのが普通だと言える。
だが、辻ちゃんの場合はアホが今もって成立する。しかも、そこには嫌味がなく、
「いい歳してアホな事を…」というネガティヴな感情を見る側にほとんど持たせない。
どんなにアホ満開であっても「まあ辻ちゃんからしょうがねーなぁ」と思わせてしまう
そんな得なキャラクターを、ボクは心底羨ましく思うのである。

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