294「続・アンハッピーはもうたくさん。」



『℃-ute 村上 愛』について皆様へ大事なお知らせ(オフィシャルサイト)



仕事の最中、なにげにぼんやりとカレンダーを見ていた時に、
「そういえば…」と初めて気づいた当コラム3年目突入。
そんな事にも気がつかないほど、おざなりにこのコラムを書いているという訳ではもちろんなくて、
なんというか、ハロプロについてコラムを書くという行為が、
以前のように、特別に何かをやっているという雰囲気のものではなくなり、
日々の生活の中で、ごく当り前の事になってきたという事の裏返しなのではないかなと思うし、
同時に、ハロプロという存在は、水や空気と同じ、やはりボクにとっての
「暮らしの一部」であるのだな、という事を改めて実感した次第である。
2周年を機にページデザインをリニューアルし、タイトルには、
3年目突入という意味も込めて、『V3(ブイスリー)』というオマケもつけてみた。
見た目も変わって気分一新。気合いを入れてがんばっていきたい。


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さて、先週取り上げた、℃-ute 村上愛の電撃脱退について、思いの他たくさんの反響をいただいた。
コメント欄でも少しキャッチボールさせていただいたが、
少し時間が経ち、全体的に「祭り」が縮小傾向を見せている中、
今回は、改めてボクのこの問題に関する見解というものを述べてみたいと思う。
もちろん、ファンの立場、そうでない立場、さまざまな意見があろうが、
感情論に流される事なく、事態を冷静に紐解いてみれば、
きっと、今までは見えなかった何かが、ぼんやりとではあるが見えてくるはずである。


今回、ブログや掲示板等に寄せられたファンの意見を、いろいろと見て回った結果、
議論のキーは、彼女が脱退という最悪の結末を迎えてしまったのは、
一体「どちらの理由」によるものなのか、というあたりに集約されそうである。
つまり、「ストーキング犯によって執拗に追いかけられ、恐怖のあまり芸能界から身を引いた」
という、彼女に同情的な意見が多数を占める一方、ボクのように、
「経緯はどうあれ、タレントイメージを著しく損なう写真が出回った事による懲戒」
であると考えている人も決して少なくない。
世論は、ほぼ上記の二者択一で、今回の問題を論じていると言っていいだろうと思う。


そこを踏まえて、ボクはあえて問うてみたいのである。
今回の写真を、彼女自身が直接ネット上で目にしたという事はまず考えられないから、
おそらくは、事務所がその写真の存在をまずは把握したのだろうと思う。
もし仮に、ストーキング犯から流出した写真が、彼女一人で写っていたものだったとしたら、
事務所側は一体どんな対応をしただろうか。


まずは、自己警戒を促す意味でも、彼女に写真の存在を知らせるだろう。
そしてもしも、その段階でストーキングされている事を、芸能界を辞めたくなるほど怖がってしまったとしても、
スタッフはきっと彼女を安心させるべく説得し、そして実際に過剰とも思える警護態勢を整えるに違いない。
なぜなら彼女という存在は、他でもない、本格的にビジネスにしようと、
今まさに動き始めたばかりのグループの主要メンバーだからである。
他ならぬ、グループにとっての一番重要な時期に起こったハプニングとあれば、
スタッフとしても、最優先事項で臨むというのは至極当り前の事なのではないかとボクは思う。
まして、スタッフはもちろん彼女の親御さんも含め、送り迎えや仕事中などに監視の目を多く光らせれば、
少なくとも現在よりはトラブルの防げる問題でもある訳だし、
「オレたちが身体を張ってオマエを守る」くらいの事を言えば、彼女だってきっと安心するはずなのだ。
彼女とスタッフの間に、その程度の信頼関係すらもなかったなどという事はまず考えられない。
つまり、ストーカーが怖いという理由だけで、全てのビジネスを白紙にして「辞める」という
極めて重大かつ異常な結論を下すのは、ちょっとあり得ないと思うのである。
それに、万が一辞める理由がストーカーの恐怖という事だけだったとするなら、
なにもあんな形で辞めていく必要はないのだ。「卒業します」のコメントビデオをたったの1分でも残せば、
それでファンに対する「説明責任」に十分なり得るのだから。


そう考えると、やはり今回の脱退の直接の原因は、写真を撮られた経緯よりも、
その中身にあったと考えた方が自然であるような気がするのである。


「男といる所を写真に撮られた事よりも、ストーカーに狙われている事のほうが問題」
と、ファンが同情する気持ちも決して解らなくはないが、
実際に彼女たちとビジネスを共にするスタッフにしてみれば、
ストーカー問題よりもむしろ、醜聞が出てきたという事のほうが大きな問題である。
スキャンダルによって、それが原因で活動が停滞してしまう事もあるだろうし、
仮にマスコミに流れれば、その対策にもコストがかかる。
なによりも、小中学生による初々しいアイドルユニットというのが売り出し文句なのにも関わらず、
そのメンバーが男と腕を組んでいた…という話が出るなどというのは痛恨以外の何物でもない。
事務所がタレントを守るという使命以前に、タレントがスタッフに対して背信行為をしている訳だから、
スタッフが毅然とした態度を取るのは当り前の事である。
まして、「ストーキングされなければこんな事にはならなかった。だからストーカーが全部悪い」
という意見などは単なる逆ギレに過ぎず、ナンセンスの極み。
芸能人を辞するという結論を、スタッフ側が通告したのか、あるいは彼女自身が選んだのか。
真相はどこまで行っても闇の中だが、一つ言えるのは、
彼女は、実にもったいない事をしてしまったという事である。


先にも述べたが、一人で写真を撮られていれば、少なくともこんな大きな騒動にはならなかった。
彼女が自分の置かれている立場や、周囲で支えてくれている人たちの事を第一に考えられていれば。
白昼大っぴらに男と腕を組んで歩くという、浅はかな行動をせず、
せめてこの大事な時期だけはストイックに生きねば…という強い自覚を持っていさえすれば。
みんなが不幸にならなくて済んだとボクは思っている。
以前、「家でじっとしていろという事か。悪くないことでも隠れてコソコソしろという事か。
そんなの馬鹿げている。人間が腐ってしまう」と辛らつなコメントを頂いた事があったが、
ボクに言わせればそうである。こういう世界に身を置いている以上、自由に何でもできると思ってはいけない。
悪い事をしている訳でなくとも、コソコソとしなければならない事だってあるのだ。
あけすけに男とイチャついたり、どこかに遊びに出かけたりする事は、
ファンが許そうが世間が許そうが、それはやっぱり「やっちゃイカン」事なのである。
そこを逸脱してしまった以上、例えどんな事情があって撮られた写真であったとしても、
責任は、自らを律し切れなかった彼女自身にあるのだとボクは考えている。
そしてなにより、これまで彼女を一生懸命応援していた者たちを、置いてきぼりにしてしまったという事実を、
もっともっと重く受け止めてもらいたいとボクは思っている。

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