292「『愛すクリームとMyプリン』〜美勇伝7thシングル」
もうなんか、いろいろややこしい事を考えずに、
その有様を笑って見ている事が、いろいろな意味で「正解」なのかも知れないと、
一枚の写真を見ながら、そんな風にボクは感じているのである。
仮に、何か明確なコンセプトがあったのだとして、
あったらあったで「どんなコンセプトやねん」と絶対に突っ込みたくなるだろうし、
まあ、どう見ても、そんなら深い意味合いがあるとは思えず、
そうすると今度は、なかったらなかったで、「美勇伝って一体どこに向かおうとしてるの?」なんて、
とてもその先行きが不安になってしまうのである。
そんなボクが見ている写真とは、もちろん、美勇伝の新しいシングル
『愛すクリームとMyプリン』のジャケットである。
まあ、ジャケ写の異様さもそうだが、このタイトルの珍妙さからして、
我々がこの曲とどう向き合っていかねばならないのか、
ある種作り手側に「挑まれている」ような気がしなくもない。
そこにもってきての、強烈なパニーガール姿である。
しかも、黒や赤ならまだしも、緑と黄色という何とも場末感に満ちた色味。
そして特筆せねばならないのは、石川梨華の風貌である。
髪の色を変えた姿は、フットサルのニュースですで目にしていたし、
ずいぶん思い切ったイメチェンだな…とか結構平和な感じで捉えていたのだが、
金髪バニーを見て、ちょっと筆舌には尽くしがたいほどの衝撃であった。
もはや、それを筋道立てて論ずるなど無意味であり、
ああ…石川さんが逝ってしまわれた…というような、
いささか不謹慎な感想を持つ以外に、ボクにはなす術はないのである。
なんというか、全ての思考能力を破壊してしまうほどの、
とてつもないエネルギーというか、パワーを秘めた今回のジャケ写は、
これまで、ボクが少なからず美勇伝に対して積み上げてきていた、
ユニットとしてのトータルイメージを根底から覆す、
一種の「大事件」であると言っても差し支えなかろう。
思えば、『恋のヌケガラ』で華麗に登場した美勇伝は、
そのノーブルな雰囲気が斬新で、久しぶりの「本格派」になって欲しいと、
実のところ、心ひそかに思っていたのであるが、
徐々に露出度が増しえ、楽曲世界もセクシー一辺倒となった現在、
一体、どのようなまなざしを彼女たちに向けねばならないか。
今、その事を大いに考えさせられている。