289「『バラライカ』〜月島きらりstar.久住小春2ndシングル」



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ここ数回のコラムを見渡してもらえれば解るように、
最近のボクは、ハロプロに対して「もう最っ高!」などと、
能天気に手放しで喜べる部分を、どうも今ひとつ感じられずにいる。
というか、前々から、結構小難しくファンをやっているな…という自覚は実はあって、
もっと物事を単純に考えなければ。肩の力を抜かねば。
と、日々一応は意識をしているつもりなのである。
だが、何か事象に対して、「なんとなくそう思います」といった感じの、
物事をあまり深く考えていないようなスタンスをとる事が生来好きではなく、
好きにしろ嫌いにしろ、その理由を明確に理論づけないと気が済まないという
悲しい性分がボクにはあって、他人ならば笑って流せてしまえるかも知れないような
物事についても、結構真剣にあれこれと考えこんでしまう。
で、結局、その時は素直に良いと評価できず、ずいぶん時間が経ってから、
やっぱり良かったんじゃねえかチクショーという事になる。
もちろん、そんな性分だからこそ、こういう形態のコラムを2年近くも続けてこられている訳だが、
他人よりも、良いものを良いと感じられる期間が短くなってしまうという事だから、
実に恨めしい性分と言わざるを得ないのである。


そんなモヤモヤとした心境にあったボクを、
実に清々しくリフレッシュさせてくれたのは、誰あろう久住小春ちゃんだった。
月島きらりとしての2枚目のシングル『バラライカ』は、
ボクの凝り固まってしまったハロプロ脳に爽やかに作用し、
ファンとしての初心を、ボクに思い出させてくれたのである。


どんな講釈を並べ立てたところで、モーニング娘。ハロプロも、
「アイドル」であるという事を、決して否定はできない。
世間にはアイドルというジャンルを、必要以上に低く評価する風潮があるが、
実はアイドルほど小器用で、そして表現力に優れた芸能人はいないのである。
歌、演技、ビジュアル、バラエティ、そして個性。
アイドルは全ての要素を、ある一定水準のクオリティで表現できないと成立しない。
「アーティスト」とか「女優」というような、単独の肩書きの方が偉いという感覚は、
実は大きな誤りであり、全てのエンターテインメントに通じる、
マルチな存在たるアイドルこそが、実は一番偉かったりするのである。
久住小春の素晴らしさ、それは、自らはアイドルなのだとしっかり自覚し、
それ相応のパフォーマンスをきちっとやりきるところにある。
それは、彼女の教育係である道重さゆみにも同じ事が言えるのだが、
アイドルになりたくてアイドルになった彼女たちは、
自らがアイドルであるという部分に、絶対にブレを生じさせない。
それは、ただ単に思考が幼稚なだけだという向きもあろうが、
例えそうであったとしても、モーニング娘。がアイドルグループである以上、
久住や道重のスタンスこそが「正しい」のであって、
乱暴な言い方かも知れないが、それ以外のスタンスは、やっぱり「正しくない」のである。
アイドルであるうちは、アイドルである事をを突き通さねばならない。
それが彼女たちに与えられた「使命」であり「プロ意識」だという事は、
このコラムで何度も何度も言い続けてきた事である。
ボクは彼女たちの人間性まで否定しようとは思わないし、
仕事においてもプライベートにおいても、何を言おうが何をやろうが、
それは全て彼女たちの責任なのだから、どんどんやれば良いという風に思っている。
だが、「使命」や「プロ意識」を欠落させる事だけは、何があっても許されない。
イメージ商売であるアイドルが、そのイメージを失墜させる事や、
アイドルとしての誇りを粗末にするような発言など、あってはならないのである。
だからボクは、不用意に写真を撮られたりする事を厳しく論ずるし、
アイドルという存在を貶めるような発言を許すことができないのである。


久住小春を見ていて気持ちがいいのは、アイドルを応援しているボクたちにとって、
あり得ないほどに明確なアイドル像を提供してくれる事であり、
そして、そのクオリティが過去に類を見ないほど高いという事だ。
当初はミラクルと言ってもピンとこなかった部分が正直あったが、
はたと気が付けば、歌唱力も放つ輝きも、そしてもちろんアイドル性においても、
現時点では非の打ち所もない、まさにミラクルエースに変貌を遂げているのだから、
スタッフの彗眼恐るべしである。
デビューしてから、かれこれ1年半。メンバーの輪の中にいる事も、
そして、月島きらりとして、一人きりでの現場をこなす事も、今では当り前のような佇まいの久住小春
モーニング娘。のメンバー代表として、堂々と「他流試合」に臨む姿に、
なんとも言えない頼もしさのようなものを感じるとともに、
あるいは彼女こそが、現在の芸能界において「永遠のアイドル」の資格を持つ、
唯一無二の存在なのではないかと、ボクは大マジでそう思っている。