287「エロと毒薬」



SOME BOYS!TOUCHメロディーズ甘すぎた果実  (以上3点amazon.com/購入もできます)



ごっちんが「SOME BOYS! TOUCH」なんて囁きながら、
胸元もあらわな衣装に身を包み、なまめかしく身体をくねらせたかと思えば、
あやみきの二人は、生まれたままの姿で小さなシーツにくるまり、
「泣いてるみたいな声が出ちゃうの…」と、切なく呟いたりしているし、
そして、あの天真爛漫だったなっちまでもが、
7つも年下の恋人との、イケナイ恋に身をやつしている。
一体、みんなどうしてしまったというのか。
しかも、いずれの曲にしても、歌詞世界やメロディのみならず、
視覚的な部分までもが、「性愛=セックス」をイメージした作り。
それも、変に小細工することなくの、正々堂々たるエロス直球勝負である。
まあ、長い芸能生活、そういう切り口があっても全然不思議ではないし、
成熟した彼女たちの見せるそれも一面であると、冷静に受け止めたい反面、
そのアプローチがあまりに直接的かつリアル過ぎて、
これまで、彼女たちを「性の対象」として捉えることを、
少なからずタブー視してきたボクにとっては、
そういう基本思考のリセットを要求されているような感じがして、
今は、いささか複雑な心境の中にいる。


それまでは、大人びた世界を表現していても、どこかにあどけない少女の表情を残していたのが一転、
20歳を過ぎ、心身ともにオンナとなり、その身体の奥底に秘めた、
情熱的で大胆な部分を、全身を使って鮮烈に見せつける。
それは、やがて来るであろう、アイドル稼業の終焉の日に向け、
それまでアイドルとして封印してこざるを得なかった「オンナの色香」という新たな可能性を披露する、
ファンに向けての、彼女たち渾身のプレゼンテーション。
今回の3作品の意味を、ボクはそんな風に解釈している。
もちろん、彼女たちががんばって表現した「セクシーの形」については、
それをボクは素直に絶賛したいと思うし、
男として、グッとくる部分があったのは紛れもない事実だ。
だが、彼女たちの尺度から考えれば、強烈過ぎるエロティシズムで、
それも、唐突としか言いようのないタイミングで迫られてしまうと、
これまで、そういうものをハロプロに求めてこなかった者としては、
どうリアクションしてよいものやら、大いに悩んでしまうところなのである。


もちろん、子供じみた世界観ばかりはウンザリだが、
息が詰まりそうなオトナの淫靡な世界を、明け透けに見せられてしまうというのも、
あまり気持ちの良いものだとは思わない。
まして、それまではそんな姿を、おくびにも出さなかった彼女たちである。
エロを素直に感じるよりも、一体どうしてしまったんだろう…という、
一抹の不安の方が先に立ってしまうのは、ある種仕方のないところだろう。
ハロプロにもセクシーさは確かに必要だが、適度に神秘性を持っていてこそだと思うし、
別に安易にエロに走らずとも、彼女たちをもっともっと魅力的に見せる方法論は、
必ずどこかに存在しているはずなのである。