286「壁に耳あり障子にメアリー。」



田中れいなWikipedia



また写真を撮られたという話を聞いて、正直もう辟易としていた。
矢口や加護が己の不注意から「自滅」してしまった、あの忌まわしく苦しい日々から、
そう時間も経過していない中、しかも、その波紋を、当事者と近い距離感で体感し、
少なからず思い悩んだ事もあったに違いないにも関わらず、
またしても写真週刊誌の恰好の餌食となってしまうとは、一体どこまで危機感がないのだ…と、
実は、少しばかりの腹立たしささえ感じていたのである。
とは言え、16や17の少女が、男とどうのこうのなどという記事は、
さすがのアップフロントであっても、簡単に掲載を許容はしないだろうという予測はあったし、
実際、記事としては実に他愛もないものだったので、怒りも衝撃も皆無ではあったが、
彼女たちの公人としての自覚について、疑問を呈したくなるような出来事であったのには違いない。


落ち目になった。メンバーなんて誰がいるか全然知らない。
事あるごとに、そんな風に囁かれてしまうのが、今のモーニング娘。である。
こんな事は言いたくはないが、「モームスの田中れいな」と言って、
果たしてどれくらいの反応があるか。
「ああ、モームスにはそういうメンバーがいるんだろうな」くらいの認識で、
世間の多くは、おそらくそれ以上掘り下げる事もないだろう。
だが、例えそんな無名の存在であったとしても、「モーニング娘。の○○」である以上は、
常にいくつものレンズが、その私生活を執拗に狙っている。
結果的に、今回の記事の内容は、過去のそれらのような「生臭い」ものなどでは全くなく、
「写真撮られてしもーたとよアハハ」で済まされる程度だから良かったようなものの、
これから先、同じようにワキの甘い事をやっているようだと、
先輩たちが苦しんできた、これでもかという程の苦汁にまみれた日々を、
自らも味わっていかなければならない事になるやも知れない。
そして、そんな姿を、ボクたちファンが目の当たりにし、
辛い思いをせねばならないかも知れない。そんなのだけは、本当にもうコリゴリだ。
ハメを外して遊びたい時期なのは解る。燃えるような恋愛したい時期なのも解る。
だが、もはや自分の身体は自分一人だけの所有物ではなく、
メンバーやスタッフや、そしてなにより支持してくれるファンたちあっての物なのだという事を、
矢口や加護の出来事を通して、彼女たちはもっとリアルに感じねばならないとボクは思う。


それにしても、矢口の時もツアーの真っ最中の時期のアクシデント。
今回も、ツアーの合間を縫って遊びに行ったところを、まんまとやられている。
ツアーを回り始めると、プライベートでハメを外したくなってしまうような、
そんな特殊な脳内物質でも分泌されるのか…
なんて、そんなおバカなことを真剣に考えたくもなる符丁ではある。
コンサートのある週末に激しく消耗し、本来ならば体力の回復などに充てたい平日のオフ。
それでも友達と遊びに行ってしまうのが、若さというやつなのだろうと、
もはや若くもないボクなんかは感じたりする訳だが、
まあなんにせよ、無防備に写真を撮られてしまったというのはいただけなかった。