285「ザ・アホーマンス」



里田まいWikipedia



今、日本のバラエティ番組は悲鳴を上げている。


ちょっと毒があるからこそ極上に面白い番組や企画が、様々な外圧によってことごとく握り潰され、
「家族全員で楽しめる」なんていう、煮ても焼いても食えないような、
ヌルくてどうしようもない番組を作ることを余儀なくされた今のテレビは、
ある意味死に体であると言っていいだろう。
そんなお寒い状況下、バラエティ班が見つけ出した一筋の光明が、クイズ番組なのだと言う。
それも、ガチのクイズ番組ではなく、バラエティ的な切り口でアプローチする、
いわゆる「クイズバラエティ」が、今、日本のテレビ界の一つのムーヴメント。
そして、クイズ番組とは言え、バラエティなのだから、
問題があって答えがあるという、クイズの基本線だけを抑えていれば、後はどんな内容であってもいい訳で、
いかにバラエティの部分を他の番組と差別化するかという事に、各局は躍起になっている。
ただ、どのような形態のクイズバラエティにしろ、必ず用意しなければならない
要素というものが存在する。それが「アホキャラ」である。


問題が出て、理路整然と解答されていくだけでは、パラエティとして成立しない。
正答を出すにしろ、誤答するにしろ、そこに何らかの面白味がなければ、
バラエティ要素を盛り込む意味などないのである。
もっと言うなら、難問をズバっと正解するよりも、
簡単な問題におバカな珍解答を連発している方が、見た目のインパクトも強い。
よって、機転が利いて、ガヤができて、そしてその場を旨く盛り上げる事ができる、
若手芸人が最近のクイズバラエティでは重宝されている事はご存知の通り。
だが、彼らが番組内でアホとして存在するという事は、言ってみれば当り前の予定調和であり、
最初のうちは面白がられても、「コイツまた言ってるよ」と、
最終的に飽きられてしまうというパターンも決して少なくない。
そこで、芸人でもない、見た目はフツーの芸能人なのに、実はものすごくアホだった、
という意外性の妙を醸し出す事で、より面白さを増幅させるという流れが作られるようになった。
その流れの担い手となっているのが、若い女性タレントである。
見た目はこんなにカワイイのに、出てくる答えはアホ丸出し、という、
それは言ってみれば「汚れ役」なのだが、番組の中では極めて重要な立ち位置であり、
テレビ的考えれば、実に「美味しい」ポジションだったりするのである。


そんなアホキャラ市場に、現在、アップフロントが勇躍参戦を果たしている。
手駒としてブレーンが白羽の矢を経てたのは、カントリー娘。里田まい
ボクは里田がアホを連発するキャラであるとは、正直露とも知らなかったが、
テレビで見ている限り、そのアホぶりは、かなり堂に入っていると思うし、
一朝一夕にできたものではない、筋金入りのアホキャラである事は間違いない。
そして、一般的に言えば無名の里田を、アップフロント代表に大抜擢し、
全国ネットの番組に送り込んだアップフロントの彗眼には、素直にアッパレの賛辞を送りたい。
あるいは、その扱われ方に不満を持つファンもいたりするかも知れないが、
考えても見て欲しい。錚々たる顔ぶれの出演者の中で、
ハロプロカントリー娘。里田まいという存在が、
何度も何度もフィーチャーされ、面白おかしくイジられ、
そして数多く画面に映る。はっきり言って、こんなに美味しい立ち位置はないし、
なにより、彼女が屈託なくアホをやって、ドカンドカンと笑いを取っている事が、
ボクにとっては、実に痛快なのである。
そして、「アホの里田」として、茶の間の知名度も上がることになれば、
彼女自身だけでなく、ハロプロ全体にいい風が吹き込んでくる可能性は十分にあるだろう。


事実、ボクというヲタの身内でありながら、ハロプロに全く縁遠いうちの家族にさえも、
「ヘキサゴンに出ている、アホの里田まい」という名前は浸透しつつあるし、
里田まいの意外すぎる日本征服、これ、あながち夢物語でもなさそうなのではなかろうか。