276「藤本美貴という個性。」



藤本美貴WikiPedia



GAMがテレビに出ているのを見ていて、ふと、心がねじれるのを感じるのだった。


藤本美貴の、あの何とも言えぬイキイキ感。
まるで水を得た魚のように、持ち前のカンの良さで、緩急の利いたトークを繰り出し、
手の合う松浦亜弥との、絶妙のコンビネーションを生み出すかと思えば、
限られた時間の中で、藤本美貴という個性をしっかりと画面に描き出し、
その存在感を的確にアピールする。
それは、モーニング娘。の一員となって、チームプレーに徹するようになってからは、
ほとんど見せることのなかった、紛れもない、ソロ・藤本美貴の姿そのものであり、
実は、このGAMというユニットが、藤本美貴の「これから」を、
あるいは大きく左右していくのではないかと、ボクは何となくそう感じている。


今では、グループとしてのモーニング娘。に無くてはならぬ存在となった藤本美貴だが、
時間をかけて集団行動に順応し、ある程度の濃度まで薄まってきたとは言え、
彼女の持つ強い個性が、今もって健在なのは衆目の一致するところである。
そして、加入して3年以上が経過した現在でも、シチュエーションによっては、
グループの中で、その個性が突出し過ぎる場面というのも多々見られる。
それは、完全に押し殺しているのに、自然に出てしまうというよりは、
ソロで活動する事を前提として培った、芸能人としてのベースの部分を、
安易に否定したくない、という彼女のプライドの表れのようにも思われ、
グループという足枷を外され、なんの遠慮もしがらみもなく、
思う存分藤本美貴をアピールしている、GAMでの彼女の姿と考え合わせても、
やはり彼女は、根っからの「ソロ気質」なのだな、と思わず実感させられてしまうのである。


ボクはモーニング娘。というグループが好きでここまでやってきた。
そして、これからもそう生きていくつもりでいる。
だから、モーニングにとって、ネガティヴな話は本当はあまりしたくない。
だが、ボクは今強く感じている。
藤本美貴という個性を、そろそろ解放してあげてもいい時期なのではないかな、と。


もちろん、今、彼女にモーニングを去られることは痛い。
久住や8期のメンバーが、ある程度計算できるようになるくらいまでは、
もう少しモーニングを支えてもらいたいと思う気持ちは強くある。
だが、チームプレーの為に彼女が封印してきた、ソロとしての高い才能。
そして、それを遺憾なく発揮できる、GAMという場所を与えられた彼女の、
みずみずしい表情と姿。そして、溢れんばかりの勢いといったものを、
これでもかと見せつけられてしまった今、
これ以上彼女に「グループの為に、今少し辛抱して欲しい」などと言うのは、
あるいは逆に、彼女の優れた素質を根底から損なってしまいかねないような気もするのである。
なによりボク自身、ソロとしての彼女をもう一度見てみたい。
そして、それはおそらく、多くのファンが待ち望んでいる事でもあろう。


ソロのライブで、心置きなくロマモーを。
GAMの姿を見るたびなぜか、いつ来るとも解らないそんな希望的観測に、
つい胸を膨らませてしまうのである。