272「『Thanks!』〜GAM 1stシングル」



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と、いう事でGAMである。


まあ、あやみきで美脚でという、あまりに美味し過ぎる前評判だけがドーンとあって、
でもその脳裏には、「やっぱり今度も和製R&B」なんていう単語がへばりついて離れない。
もちろん、“ごまっとう”〜“後浦なつみ”〜“DEF.DIVA”という一連の流れが、
取っ掛かりとか道中とかはともかく、結果としてはいい感じだったという過去は現実で、
よもや失敗はあるまい、と強く考えはするのだが、それでもなんとなく、
「あー、またこの路線ですか」的な、ある種のガッカリ感を味わうような事にはならないか…
というような風にも、正直なところ感じていたりした。
だが、CDを聴いて、まずは一安心といったところである。


結局、『スケバン刑事』の主題歌という部分に、凄く惑わされていたという事なのだと思う。
ボクが認識している『スケバン刑事』の世界観。
そして、すでに公表されている数々のスチールショットのイメージを考え合わせ、
そこに美脚、つまり、セクシーな雰囲気というものが加味されれぱ、
必然的に、ポップな方向性ではなく、全体的に「重め」でウエットな感じの楽曲が想像でき、
それって要は、つんく♂お得意の、いわゆる「なんちゃってR&B」じゃないのか、
というような感じに、リリース前にはその印象を捉えていたのである。
ところが、蓋を開けてみれば、ラテンテイストのなんとも軽快な曲で、
しかも、ビジュアル面でも、「影」や「憂い」のようなイメージは微塵もなく、
ハレーションを起こしそうな鮮やかな二つの色彩が、その破壊力満点の瞬きを遺憾なく発揮している。
いい意味でのイメージの裏切り。これは久々に嬉しい誤算だった。


すでに2ndも決定し、予想外の長期政権を築くかも知れないGAMだが、
実のところ、いささか残念な印象を抱いたのも事実である。
それは、数年を経て、少しばかり雰囲気の変わってしまった、あやみきの姿。
違和感とまでは言わずとも、何とはなしの物足りなさを感じずにはいられないのである。


かつては、気持ちの悪いほど仲の良かった二人。
もちろん、その仲の良さ今も変わることはないだろう。
だが、お互い、年齢的にそして、精神的に成長を重ね、
見た目も中身も、オトナへと変貌を遂げた。
そして、ハロプロ内で置かれている立場も、あの頃とはずいぶん変ってしまっている。
藤本美貴モーニング娘。の一員となり早や3年。
ソロコーナーで面影は偲ばせるものの、今やすっかり集団行動が板についた。
一方、サイボーグとまで言われた「完全無欠のアイドル役」に終止符を打ち、
シンガーとしての一歩を踏み出した松浦亜弥
ユニットとして再開した二人に、往時のピチピチ感を見出せないという気持ちは、
ある意味どうする事もできない、無い物ねだりであるというのは解っている。
だが、ボクらの知る「あやみき」と、GAMというユニットが、
基本全く別の存在なのだと、割り切ってしまえるだけの、物分りのよさがある訳でもなく、
いい楽曲といいビジュアルを目前に、それでも尚、胸に残る少しの迷いが憎らしい。
まあそんな事をいいながらも、GAMが「ハワイヤ〜ン」とか言ってる姿を想像したところで、
それはそれで違和感であるのは間違いないのだけど。