265「You are my sunshine〜Forever...」



「一生の宝物」…小川がモー娘。卒業、留学から帰国後活動再開へサンケイスポーツ



モーニング娘。「太陽」――小川麻琴の卒業の舞台は、
いかにも彼女らしい、実におおらかで、ほのぼの感たっぷりで、そしてとても爽やかなステージだった。


会場のキャパシティを考えれば、卒業を見守ったファンの数は、
たぶんどの卒業式よりも少ないと思うし、
メンバーひとりひとりが、ちゃんとコメントを言えた訳でもない。
いわば、非常にこじんまりとした卒業式だったのには違いない。
だが、規模の大小だけでは決して計れない「密度の濃さ」があのステージにはあった。
そして、そんなこじんまりとした餞の舞台なのにも関わらず、
あれほどに深い感動があったのは、やはり、小川麻琴という少女が持っていた
「温かさ」のなせる業なのだろうとボクはそんな風に感じたのである。


彼女がモーニングの太陽だった、というボクの思いが、
あながち間違いではなかったのだと思えた瞬間があった。
それは、セレモニーの様子を舞台上から共に見守ってくれた、
助演の箙かおる、そしてマルシアのご両名にふと目をやった時の事。


はっきり言ってしまえば、今回の作品を通してしか接点のない関係。
もちろん、その唯一の接点の密度というものは、圧倒的に濃かったりする訳だが、
例えば、ファンとの掛け合いだとか、それこそ吉澤や5期との絆だとか、
およそ、助演陣とは関係性の希薄な時間であったにも関わらず、
見守るその視線は実に柔らかく、そして、小川麻琴の卒業を、
その場にいる全員と共に祝わんとする気持ちが、ひしひしと伝わってきたのである。
まあ、数ヶ月にも及ぶ長い時間、苦楽を共にしてきた仲なのであれば、
そういった感情が、お二方の中に自然に湧き上がるというのは当然の事なのだが、
助演陣のお二人が、普段生きる世界とは全く異質のジャンルの、
それも、一種異様なセレモニーに立ち会うという事実を考えたとき、
やはり、いくら信頼関係を結んだ、家族的な関係性だとは言え、
その場の雰囲気に、いささかの戸惑いがあったとしても、決して不自然ではない。
だが、ボクの目からは、ご両名の眼差しは、そんな助演として「一線を置いた」ものなどではなく、
舞台上のメンバーや、客席のファンの目線となんら遜色のないもののように見えたし、
お二方を、そのような心持ちにさせたのは、
小川麻琴が屈託なく放ち続けた、人たちを幸せにする陽光のせいではなかったかと、
ボクは一人そんな事を考えながら、ステージを見つめていた。


「さっきから目を合わせられない!」


そんな風に呟いて、最後の挨拶でおどけて見せた吉澤ひとみ
顔を見ればつい涙が込み上げそうなほど、小川麻琴への思いの深さは
ひとしおなのだと、メンバーもファンもみんな知っている。
だから、二人が万感の思いを胸に、ひっしと抱き合った瞬間、
舞台上のメンバーも、そして客席も、みんな猛烈に感動した。
そして、それが当り前の事のようだった、二人がおバカをやっておどける姿も、
しばらくは見られなくなる。覚悟していたはずなのに、
いざその段になってみると、やはり一抹の寂しさを感じずにはいられなかった。



You Are My Sunshine
         (キミはボクの太陽の光)
My only sunshine.
         (ボクだけの太陽の光)
You make me happy
         (キミはボクを幸せにする)
When skies are grey.
         (空が曇ってる時も)
You'll never know, dear, How much I love you.
         (ボクがどれだけキミの事を好きか、キミは知らない)
Please don't take my sunshine away
         (だからお願いだ。太陽の光を遠ざけないでおくれ)



マコトの卒業を思うとき、いつも思い浮かぶのはこの曲。
でも大丈夫。ボクらの心の中で、小川麻琴という名の太陽はずっとずっと輝き続けていく。
彼女が、ボクらの前に「ただいまー」と元気に帰ってくるその日まで。