264「You are my sunshine〜3」



小川麻琴Wikipedia



いつも笑顔と元気な姿を絶やさず、
その場に居るだけで、ぱっと周囲が明るく、そして温かくなり、
見ている者たちを、自然と幸せな気分にしてくれる。
小川麻琴が、紆余曲折の末に辿り着いた自分だけの居場所。
それは、誰にも真似のできない「モーニング娘。の太陽」だった。


ひたすらコメディエンヌに徹し、時には損な役回りを引き受けた事もあった。
でも、自らが屈託のない姿を振りまくことで、みんなが笑顔になれる。
それが「己の生きる道」なのだと悟って、彼女は大きく変わったのである。
そして、その姿を優しくフォローしたのが、吉澤ひとみという存在だった。


7月の代々木公演。涙で声を詰まらせた吉澤ひとみは、
「後輩の卒業はヤバイ」と言って、少し照れ笑いを浮かべた。
それはもちろん、卒業を控えた二人への言葉であるのには違いない。
だが、吉澤がそんな風に感じたのは、やはり、目の前にいた
小川麻琴の存在というものが、とても大きく影響していたのではないかと、
その光景を見ながらボクは感じたものである。
「かわいい後輩」の「良き先輩」。
当人たちしか解らない絆で結ばれ、お互いを信頼しながら歩んできた二人の関係。
小川が去り行くという事は、吉澤にとって相当大きな出来事だったに違いない。


もちろんそれは、小川麻琴にとっても同じこと。
「センター」や「エース」というような呪縛に捉われ、
自分の進むべき方向すらはっきりと解らなかった時代。
何がきっかけなのかは解らないが、
いつの日からか吉澤ひとみという存在を見つめ、
そして、その後姿をずっと追いかけて行った日々。
吉澤ひとみがいたからこそ、小川麻琴はあそこまでバカができた。
そして、あの二人がいたから、ボクたちはずっと笑顔で過ごしていられたのである。


モーニング娘。の太陽が、静かに沈み行く時は、刻一刻と迫っている。


小川麻琴本人の胸に去来するもの。
彼女の良きパートナーだった吉澤ひとみが感じること。
そして、小川麻琴を見つめ続けたファンたちの心境。
さまざまな思いが錯綜する、8月27日の新宿コマ劇場


それは「幕引き」ではなく「幕開け」なのだ、
という、至極当然の結果をこの目に焼き付けるべく、
ボクはこれから東京へと向かう。