258「時の流れに身をまかせ」



元ハロプロ・谷ルミコが韓国のミュージシャンと結婚サンケイスポーツ



三佳千夏という名前を聞いて、ピクリと反応する者が、
いったい何人、今のハロプロファンの中にいる事だろう。
モーニング娘。に4期メンバーが入って数ヶ月。
いよいよ「国民的アイドル」という風に呼ばれるようになり始めた頃。
『美少女日記』で、松浦亜弥がメディアデビューするのと入れ替わるように、
彼女はひっそりとハロプロを、そして芸能界を去っていった。
まだ、ハロプロが「モーニング娘。とその仲間たち」的な括りでしかなく、
今のように、全員が4番打者というような趣ではなかった時代の話である。


ハロプロつんく♂プロデュースは、今でこそ絶対的な方程式だが、
以前は、必ずしもそうではなかった。
件の三佳千夏もそうだし、同じようにハロプロを去った平家みちよも、
初期の頃はつんく♂の盟友・はたけがプロデュースを手がけていた。
考えてみれば、カントリー娘。も、プロデューサーのクレジットは田中義剛だった訳で、
そういう意味において、当時のハロプロは多彩な顔ぶれだった。
やがて、モーニング娘。のブレイクと共に、ハロプロが一大ブランド化するにつれ、
メンバーたちは「アイドル適性」というフィルターの上でふるいにかけられ、
言い方は重いが、淘汰されていく者たちも出始めるようになっていく。
ボクは決してそれが悪いことだとは思わないし、
今のような「スター軍団」たるハロプロが、結果として出来上がった事を思えば、
その流れはむしろ必要なものであったとさえ感じる。
だが、そのせいで、ハロプロならではとも言えるような個性的な面々が去っていった事は、
ある部分においては、ハロプロにとっての損失であるような気もしているのである。


そんな三佳千夏が、谷ルミコと名を変え、
芸能活動を再開させていたという事は以前から知っていたが、
今回、韓国人ミュージシャンとの結婚が報じられ、少し驚いた次第。
驚きと同時に、ハロプロという大枠に残り、第一線で活動する幸せがある一方、
そこからドロップアウトし、自らを自由に操縦できる環境下で、
さまざまな喜びを掴み取るというのもまた、幸せの他方である事は間違いなく、
彼女を含めた多くの者がハロプロを去った事も、ある意味においては
ポジティヴな出来事だったのかもしれない・・・などと、至極当然の納得を得たのだった。


これで、元ハロプロメンバーの結婚は3人目。
しかも、先達の2人は、すでに母親という新たなフィールドでがんばっているというのだから、
時間の流れ、そして、重ねた自らの年齢を嫌でも感じずにはおれず、
ため息ばかりが募る今日この頃である。