253「『恋☆カナ』〜久住小春1stシングル



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別にその能力を見くびっていた訳ではない。
秘めたる潜在能力。そして、メディアに本格的に露出を始めてからの、
驚異的とも言える表現力の成長スピードなど、
あらゆる面が「規格外」だった久住小春については、
ただ素直に「こいつぁすげぇや」と一目置いていたのには違いないのだ。
だが、最初にソロでの活動という話を聞いたときは、
以前のコラムにも書いたが、やはり、時期尚早の感も強く、
あるいは、大々的に掲げたミラクルという看板を意識するが故の、
戦略的な「早仕掛け」なのかな、とも思ったりしたのである。
だが、少し時間が経ち、ソロとしての彼女の活動の全体像が
ある程度見えた段階で言える事は、
ちょっと早すぎるかなと思ったソロ出しの時期が、
結果的にドンピシャのナイスタイミングだったという事。
そして彼女が、正真正銘のミラクルエースだったという事である。


ここで唐突に問題である。できるだけカンニングをせず記憶だけで答えて欲しい。
過去のモーニング娘。の在籍メンバーのうち、今回の久住小春のように、
現役メン時代に、ソロのシングルをリリースした事のあるメンバーは一体何人か?
ただし、2000年にFC限定で発売されたメンバーのソロシングルと、
ソロからメンバー入りした藤本美貴は除外である。


勿体ぶらずに答えを言う。リリースの早い方から順番に、
中澤裕子(当時ゆうこ『カラスの女房』)、後藤真希(『愛のバカやろう』)、
安倍なつみ(『22歳の私』)、飯田圭織(『エーゲ海に抱かれて』)
(カッコ内はデビューシングル)
長いモーニングの歴史の中で、わずかに4人である。
しかも、4人ともが、ハロプロの(すなわち、つんく♂の)領域内での
ソロデビューだったのに対し、今回の久住のソロ活動は、
同じ「テレビ東京発信」という事以外は、ハロプロ色の存在しない、
アニメの現場がメインフィールド。しかも、そのアニメの主役声優としての大役を
同時に仰せつかるというのだから、これはもう並のソロデビューではないと、
ボクははっきり言い切ってしまいたい。
さらに、その「対外試合」を、抜群の実力でソツなく戦い、
その姿にはもはや、大物感すら漂っているというのだから、これはすごい事である。


ハローのコンサートのステージで、新垣里沙亀井絵里という二人の先輩を、
まさに従えて、堂々と持ち歌を披露する久住小春を見ていて、
なんかだんだんとウソ臭く聞こえてきてしまうほど、安っぽく連呼していた
「ミラクル」という形容詞に、俄然リアリティが感じられるようになったし、
これから先の、彼女のミラクルっぷりを、ワクワクしながらじっくり愛でていきたい。
そして、新メンバー追加で、早くも「先輩」となる事が決まった彼女に訪れる、
モーニング娘。のメンバーとしての新たな局面。その行く末も大いに気になるところ。


どうもこの夏、久住小春の動きに、大きな注目が必要のようである。