251「赤点の星/下」



卒業…紺野 涙のラストモー娘。(デイリースポーツ



《5期メンは娘。のお荷物だ。》


そこまでストレートな表現ではないにしろ、
そういう感じで揶揄される風潮というものは確かにあって、
5期メンバーの歴史とは、そういう言われなき悪評との
戦いの歴史でもあったように思える。
7月23日の代々木夜公演に参加した中に、5期に悪態をついた経験のある者なんて、
よもや存在するまいとボクは信じているが、もし、例えひと握り、いや、ひとつまみでも、
そんな人間がいたのだとしたら、ボクはそいつらに問うてみたい。
あの卒業の瞬間を目の当たりにした今でも尚、
「5期メンには力がない」などというセリフを臆面も無く吐けるのかと。


プロフェッショナルとして、その有終の美を華々しく飾る。
当たり前の話だけど、確固たる実力と表現力がなければ、そんな事は到底なし得ない。
たくさんのスポットライトに照らされ、自らに与えられた最後の見せ場を、
それもたっぷりの華をもって表現する、あの瞬間の紺野あさ美に、
もはや「劣等生」とか「赤点」などという印象は微塵も感じられなかった。
まったくもって地味目だった一人の垢抜けない少女を、
人々にあんなにも感動を与えられる、一流の表現者へと変貌させたもの。
一つはもちろん、5年間彼女が繰り返してきた、血の出るような努力。


それからもう一つ。そう。忘れてはならない5期メンバーの絆である。


ステージの上で4人が流した涙。
込められていた、5年分のさまざまな「思い」は、時に甘く、時に苦く。
そして、そんな思いの傍らには、いつも、全てを解り合える同士がいた。
涙も、汗も、笑顔も。全部が4人のものだった。
いつも一人じゃない。
愛ちゃんが、
マコトが、
ガキさんが、
みんながいるからどんなに辛くても大丈夫だった。
だから、紺野あさ美は頑張れた。
4人の計り知れない絆の深さが、紺野あさ美を、
そして5期メンバー4人を、大きく大きく成長させたのである。



「いろんな思い出はモーニング娘。が終わっても一生残るもの。
               前を向いて歩けるのは皆さんのおかげです」



ボクたちが悲しい寂しいと立ち止まっている事を、
向上心の強いこんこんはたぶん喜ばない。
今まで全部の思い出を、絶対に穴の開かない脳みそのバッグの中に詰め込んで、
ボクたちもまた、立ち止まらずに前に進んでいく。
そして、こんこんとボクたち、お互いもう少し大きくなってから再会して、
バッグの中の思い出を、あれこれ共有しあうというのはどうだろう。
それってすごくHappyな事だと、ボクは思うのだけど。


2006年7月23日。
「赤点の"一番"星」になった紺野あさ美に、心よりの祝福とエールを。


おめでとう、こんこん。