248「名曲再探訪。其の四。」



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イントロが流れた瞬間に、当時の情景がパーっと頭の中に蘇り、
「ああ、もう一度あの時に戻ってみたい…」なんて思わず感じてしまう曲を、
誰しも一曲くらいは持っているのではないだろうか。
ボクにとっての、そんな曲の一つは『本気で熱いテーマソング』。
そして、聴くたびに思い浮かぶ情景は、
なぜか決まって、2002年の夏秋のツアー"LOVE IS ALIVE"の、
それも豊田スタジアムの公演なのである。


後藤真希が去り、保田圭の卒業を翌年に控え、
「これからファンとしてどうしていこうぞ」と、
当時、モーニング娘。のサブリーダー・保田圭をリスペクトして
やまなかったボクは、少なからず悩んでいたりもした。
いわゆる「推し」でモーニング娘。を見ている訳ではないボクだったが、
当時の彼女という存在は、ボクの中であまりにも大きなもので、
それがふと消えてしまったとき、ファンとしてのボクは、
一体どんな風になってしまうのだろう…と、
全く先の見えない自らのファン人生が、不安で仕方なかった。


その日、収容人員43000人の豊田スタジアムは、
嘘でもなんでもなく満席になろうかという勢いだった。
過去何度も、アリーナや、広いホールや、野外でのコンサートを見てきたし、
ちょっとやそっとの規模では驚かない自信もあったが、
そんな自信も、開演前にしてすでに崩壊していた感がある。
その熱気。うねる様な歓声。そして、とにかく動き回るメンバーたちの姿。
何もかもが、とにかく熱いコンサートだった。
そして、コンサートの最後の最後。
会場全体が、鳥肌が出るほどの一体感に包まれたタイトルコール。
聴き慣れたイントロは『本気で熱いテーマソング』だった。
大サビ前の最大の見せ場、♪いーざー の溜めが極限状態となった時、
音楽に合わせて、カメラがグルリと円を描くように動き、
その様子がビジョンにオンエアされると、ボクは思わず感嘆の声を上げた。
地響きのような歓声と、どこまでも気持ちの良い爽快感。
モーニング娘。のファンであればこそ味わえる「究極の気持ち良さ」が、
ファンとして迷いの中にいたボクを掬い上げてくれたのだった。


あれから4年。『本気で熱いテーマソング』が、夏のステージに帰ってきた。


会場は違えど、奇しくも同じ名古屋のステージで、
思い出の曲のイントロを聴いた瞬間の、あのなんとも言えぬ感動と興奮。
忘れかけていた「原点」をなんとなく思い出させてくれる大事な一曲を求めて、
今年はずいぶん久方ぶりに、東名阪の夏ハローを巡ってみようと思っているのである。