242「CR松浦亜弥」



CR松浦亜弥(FIELDSオフィシャルサイト)



松浦亜弥がパチンコ台になる。
実はこれ、相当すごい事なんである。だけど、解らない人にとっては、
おそらくどこまで行っても解りえない価値世界だろうと思う。
パチンコという下世話すぎるジャンルに、彼女の存在が入りこんでいくという事への嫌悪感。
そして、何の躊躇もなく参入させてしまった事務所への疑念。
ファン目線で見れば、あまりいい話という訳でもない今回のトピック。
だが、その道に少し明るい者からすれば、やっぱりこれはすごいニュースである。


突き詰めて考えれば、パチンコという遊戯は、台からの幾ばくかの玉の払い出しを受ける事を目的に、
ただひたすら盤面に向けて玉を弾き続けるだけの、単純作業の繰り返しであり、
何もなければそんな単純作業を何時間も続ける事は到底できない。
かつて、パチンコを打つという行為のメリットは、大半が「ハイリターン」の部分にあった。
つまり、単純作業の繰り返しは楽ではないが、ひとたび大当りと呼ばれる状態になれば
多くの玉が払い出され、打ち手は多数の景品を獲得する事ができる。
景品の買い取りと証した換金が事実上合法化し、ギャンブルの側面が強いパチンコにおいて、
それは数時間にも及ぶルーティンワークの苦痛を補って余りある「特典」であった。
だが、そんなギャンブル性の高い遊戯を、当然お上が黙って見過ごすはずもなく、
数度の法規制によって、打ち手の射幸心を煽るような出玉の機種は開発が規制されるようになる。
ハイリターンでお客を繋ぎ止めていた業界は、苦肉の策として、
何時間打っても飽きの来ない、ゲーム性の面白さを売りにする方向転換を余儀なくされた。
そういう流れの中で登場してきたのが、有名人や有名作品を題材にした、
タイアップやコラボレーションと呼ばれる機種だったのである。


ここで重要なのは、パチンコを楽しむ人種世代は、極めて多様だという事である。
若者も、おっちゃんおばちゃんも、そしてお年寄りまで、とにかくその客層は幅広い。
そんな状況で、多くのファンに支持されるコラボレーション機を作るには、
やはり、それなりのネームヴァリューが必要であり、
過去のヒット機種を眺めてもも、大物タレントであったり、名作ドラマや映画であったりと、
なるほど、錚々たるビッグネームが名を連ねている。
そういう中に、松浦亜弥が堂々参入していくという事の持つ意味。
それは、彼女が老若男女を問わない知名度を持ち、
そして、支持されるだけの存在になったのだという確かな証明であると同時に、
これまで松浦亜弥に対して「名前くらいは知ってる」程度の認識だった人にも、
彼女を深く知ってもらえるチャンスでもあるのだ。
国民的アイドルから、国民的スターへ。
そのステップアップへの布石が、今回のニュースであるとボクは思っている。


ちなみに余談だが、パチンコ台のキャラクターというのは、
芸能ビジネス的にも相当「美味しい」仕事であるらしい。
一説によると、その見入りは版権提供だけで数千万円。
ヒット機種となり、台の売り上げが伸びれば、パーセンテージで数億円にもなる事があるという。
金の話をするのいやらしいが、そういう面においても
「CR松浦亜弥」のもたらす物は大きいと言えるだろう。