241「30の幸福・第2夜」



ディスコグラフィ・モーニング娘。(オフィシャルサイト)



松浦亜弥とともに、非モーニング系ソロメンバーの二本柱として、
これから先のハロプロに絶対的に君臨するはずであった藤本美貴の、
まさに青天の霹靂とも言える電撃的モーニング娘。加入。
そして、彼女と同時に、6期メンバーとしてグループに加わった、
追加メンバー史上初「問題児」と呼ばれた3人。
生まれも育ちも出発点も違う4人の新メンバーが持っていた共通因子。
それは、モーニング史上比類なき、強烈過ぎる個性であった。
4人の加入で、15人という人数のインパクトだけではなく、
明らかにモーニング娘。の中身が変わったという事を実感させてくれたのが、
19枚目のシングル『シャボン玉』だった。
どこか優等生然としていたそれまでのグループ像とは違い、
いい意味での、アクの強さも持ち合わせるようになったモーニング娘。
続く20枚目『Go Girl〜恋のヴィクトリー〜』は、
抜群のチームワークでありながら、それぞれ華麗な個人技も持つ。
そんな「タレント揃い」のグループにピッタリの曲だったと言えなくもない。


新生モーニングを後輩たちに託す形で、かつてモーニング娘。の顔とまで言われた、
「ザ・モーニング娘。安倍なつみがグループを卒業。
彼女のラストシングル、21th『愛あらば IT'S ALL RIGHT』の楽曲世界には、
彼女が作ったモーニング娘。への惜別。そして、これから後輩たちが紡いでいく
モーニング娘。へのエールがクロスオーバーしている。
楽曲に秘められたエールをしっかりと受け止めたモーニング娘。は、、
グループ初の本格的なロックチューン、22th『浪漫〜MY DEAR BOY〜』、
新機軸の23th『女子かしまし物語』24th『涙が止まらない放課後』、
50年ぶりのプロ野球新規参入球団となった、
東北楽天ゴールデンイーグルスとのコラボレーション、
25th『THE マンパワー!!!』と、常に「攻め」の姿勢を貫き続けたのである。
そして、この25枚目をもって2代目リーダー・飯田圭織が卒業し、
オリジナルメンバーなきグループとなったモーニング娘。
それは、過去さまざまなターニングポイントを迎えてきた彼女たちにとっての、
本当の意味でのリスタートと言っても良いだろう。


新リーダー・矢口真里を先頭に、次世代モーニング娘。が動き始め、
最初の楽曲となった26th『大阪 恋の歌』。
大阪弁テイストのこの楽曲を引っさげ、
石川梨華の卒業公演として、順調に全国ツアーもこなしていた矢先。
そのクライシスは突如として起こった。
そして、吉澤ひとみの急すぎる新リーダー就任。
モーニング娘。を取り巻くすべての人間が、皆一様に動揺する中、
そんな波乱の雰囲気をかき消すかのように、
元気な産声を上げたのが、たった一人の7期メンバー・久住小春
最近の追加メンバーのような派手さもなく、実力もまだまだ未知数。
だが、つんく♂の「ミラクル」の一言が、ボクたちを期待させ、
そして、その期待に違わぬ着実な進歩を彼女は見せてくれている。
久住の加入でまた一皮剥けたモーニング娘。は、
27th『色っぽい じれったい』、28th『直感2〜逃した魚は大きいぞ!〜』
29th『SEXY BOY〜そよ風に寄り添って〜』と、全く毛色の異なる3曲を、
全く異なる個性を用いて表現。その溢れんばかりの魅力を改めて感じさせてくれたのだった。


30th『Ambitious!野心的でいいじゃん』。
CDをデッキにいれ、再生ボタンを押す。
スピーカーから流れ出る彼女たちの声に、しばし酔いしれる恍惚のひと時。
そして思うのは、彼女たちとボクが歩んできたこれまでの道と、
その傍らにいつもあった、彼女たちの歌声。
噛み締めてきた「30回の幸福」を、何度も何度も反芻しながら、
ボクはまた、再生ボタンに手をかけるのだ。