236「『ザ・ストレス』〜安倍なつみ7thシングル」



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偉大なる事務所の先輩が、過去ヒットさせた曲のカヴァー。
しかも、収録されているのは、同じ楽曲のリミックスものばかりだと言うのだから、
受け取る側に「安直なシングルカット」という、
ネガティヴなイメージを抱かせても仕方のない状況ではある訳だが、
果たしてそうなのかな…と、ボクは思っていたりするのだ。


単に、楽曲のストック不足からカヴァーに走るというのであれば、
ハロプロにはそれこそ何百という楽曲がある訳で、
そこからリサイクルした方が、手っ取り早いし、聴く方の共感も大きいと思われる。
ちょっと前、あらゆるメンバーのシングルのc/wに、
太陽とシスコムーンの曲のリアレンジ版が収録されていたりしたが、
ああいう方法論がとれるだけの材料が、今のハロプロにはあるのだから、
ネタ切れだからと、わざわざ森高千里をカヴァーする必要などはないはずなのだ。
つまり、なんとなくではあるけれど、ハロプロ森高千里をカヴァーするという行為には、
ものすごく大きな意味を含んでいるような、そんな気がするのである。


過去、ハロプロがカヴァーした森高千里のナンバーは、
今回の『ザ・ストレス』。ミニモニ。の『ロックンロール県庁所在地』。
そして、松浦亜弥の『渡良瀬橋』(後藤真希もアルバムにおいてカヴァー)の3曲のみ。
数ももちろんだが、それぞれのリリースの間隔などから考えても、
「濫用」を避け、アイドル歌謡として、売れるエッセンス満載の、
財産とも言うべき森高ナンバーを、決して無駄遣いすることなく、
ここぞという時に小出しに使わせていただきたい…
という作り手側の意図が、うっすらとではあるが見えてくる。
こう書くと、「いざとなったら他人の褌で相撲を取る」的な
物言いにも聞こえてしまうが、無論、そういう事ではない。
たぶん、プロデューサー・つんく♂も含めた、
ハロプロという集団にとって、森高千里というアーティストは、
その形態は全く違えど、大いなるリスペクトの対象であり、
同時に、女性アイドルとしてのハロプロの「永遠のお手本」でもある。
華やかさしかり。音楽センスしかり。そしてもちろん、自分自身の魅せ方しかり。
メンバーたちが見習うべき点は多いし、つんく♂にしてみても、
アイドルを作っていくプロセスの中で、成功例としての森高千里の存在は、
そのプロデュースにおいても、影響を色濃く残しているに違いない。
ハロプロが森高をカヴァーするという事は、すなわち、その尊敬の念を具現化する作業であり、
安直な「数合わせ」とは本質がまるきり違うものなのである。


それにしても、ハロプロ内で、ある意味最も「森高っぽくない」キャラの
安倍なつみが、森高をカヴァーしてしまうというのだから世の中面白い。
『17才』ばりの、フリフリのミニのスカートでなっちが唄い踊る姿を想像すると、


ごめんなさい。ちょっと笑っちゃいました。