229「『少女R』〜田中れいな3rd写真集」



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モーニング娘。「個性の歴史」は、大別すると、おおよそ二つのパターンに分けられる。
一つは、加入時から、我々ファンが抱いているイメージどおりの個性で、
そのままキャラ立ちをしていくタイプ。
もう一つは、最初にボクたちが持っていたイメージとは、
全く異なるキャラに「変身」していくタイプである。
前者の場合、例えば中澤裕子は、モーニング時代から今日に至るまで、
一貫して「姐さん」と呼ばれているし、
安倍なつみは、最初にボクたちが見ていた「なっち」のまま、
24歳になった今でも、やっぱり「なっち」である。
その他「おっとり」な紺野あさ美や「自分大好き」道重さゆみなどが、
イメージのほとんど変わらないメンバーだと言えるだろう。
それとは対称的なのが、後者にあげた「変身」タイプのキャラクター。
その最たる例の集合体は、なんと言っても4期メンバーではないだろうか。
クールでマーベラスな美少女なのかと思いきや、実は男キャラだった吉澤ひとみ
優等生タイプで正統派美人なのかと思いきや、実はキモキャラだった石川梨華
辻加護にしても、オーディション当時は、まさかあそこまでの破壊力を
持った存在であるとは思わなかった訳で、
4期メンバーたちは、いい意味で、ことごとくこちらの思惑を裏切ってくれた。
その後続いた5期メン6期メンにも、小川麻琴や新垣理沙、亀井絵里など、
「まさかこんな風になろうとは…」という、変身メンバーは多い。


では、田中れいなは? と問われれば。これはなんとも難しい質問である。


ボクらが抱く彼女へのイメージ。安直と言われようが、それはやはり「ヤンキャラ」である。
オーディション時の印象以来、ファンであるボクたちはもとより、
メンバーの中においても定着し、なにより当の本人が、
特に拒絶することなくここまで来ているパーソナリティは、
もちろん今もって健在だし、それこそが、ボクたちの持っている
イメージ通りの田中れいなだと言っていいだろう。
だが、その一方で、どうも、田中れいな=ヤンキャラという図式に、
最近揺らぎが生じているような気がしてならないのである。
かと言って、別にヤンキャラに替わる新しい個性を確立したという訳でもなく、
「一体どこが?」と突っ込まれると、まぁ返答に窮してしまうのだけれど、
とにかく、ヤンキーという単語からは程遠い彼女の姿を、
最近つとに見かけるようになってきたような気がする。
なぜだろう、としばし考えたが、案外あっさりと結論は出た。
つまり、実際にヤンキーであるか否かはほとんど関係なく、
今の10代の女のコは、総じてこういう感じのキャラなのかも知れないという事だ。
ということは、田中れいなの見せていたヤンキャラも、
あるいは、イマドキの10代女子にとっては、
特筆すべきもない、あまりに普通の感覚なのだという見方もできるし、
ボクたちが当初抱いたイメージは実は誤りで、「いわゆるフツーの16歳」こそが、
田中れいなの「正体」なのであるとも言えなくもないのである。


彼女のキャラは、果たしてイメージ通りなのか否か。
その答えを導き出すヒントは、今回リリースされた写真集『少女R』にある。


「特別やない。どこにでもおるったい」


そうとでも言いたげに、ページの中の『少女R』は、
画一的にボクたちが抱く彼女へのイメージをことごとく覆し、
そして、その「特別やない」というシンプルな事実こそが、
彼女――田中れいなの持つ、最大にして最強の魅力なのだという事を、
この写真集を通して、ボクは改めて思い知らされたのである。