219「ジャニーズvsハロプロ」
月曜の出勤前。慌しい時間帯ながら、読売新聞の記事にふと目が止まった。
「ジャニーズのタレントはなぜあんなに人気者なのか」みたいな特集記事で、
3人の識者が、それぞれのジャニーズ論を語るというのがメインだったのだが、
ボクはその内容よりも、記事の下段に小さく書かれていた、
ジャニーズ事務所のルーツに関する説明書きの方に興味をそそられ、思わず「へぇ」と声を上げた。
知る人ぞ知るというか、その道のオーソリティにとっては有名すぎる話なのかも知れないが、
ジャニーズについては門外漢のボクにしてみれば、やはり新鮮な驚きがあった。
当時バンドマンだった、今の事務所のボス・ジャニー喜多川が、
趣味が高じて少年野球のチームを作った。
自らのニックネームから名づけた「ジャニーズ」というチームこそが、
現在のジャニーズ事務所の前身なのだという。
そして、練習が中止になったある雨の日、チームの少年たちと映画に出かけ、
そこで見た『ウェストサイド・ストーリー』に大きな感銘を受けた喜多川は、
「いつの日か、このコたちとこういう作品を作りたい」と、
エンターテインメントの世界に転身する決心をしたのだという。
所属タレントとの「ただならぬ関係」など、さまざまな噂が流れる喜多川だが、
まあ、同性愛的な思いを抱いているかどうかはともかくとして、
つまりは、思春期の少年が持つ特有のキラキラ感。そして、少し棘のある精神構造。
そういったものに強い憧憬を抱き、こよなく愛し、こだわりを持っていたからこそ、
巷の小さな野球チームが、日本の芸能界を牛耳るまでの大きな存在になったのであろう。
こう言ってはなんだが、ハロプロが「女版ジャニーズ」と呼ばれる事は、
実はものすごく光栄なのではないかと思ったりするのである。
ボクは別にジャニーズをリスペクトしている訳でもないし、
むしろ、うちのタレントとちょくちょく噂になる現状を苦々しく思ったりしているクチだ。
ただ、今回そのルーツを知り、隆盛を極めるジャニーズ事務所の
足腰の強さの秘訣が「愛好する」という、全く商売っ気のない部分に
実はあったのだという事に、ボクは大いなる衝撃を受けた。
対して、好き云々という叙情論ではなく、大手事務所の1カテゴリとして、
常にビジネスモデルを模索されながらシステマティックに構築されてきたのがハロプロである。
辛うじて、プロデューサーのつんく♂がアイドルに造詣が深く、
彼にハロプロの司令塔を任せた事だけは大いに評価できるとしても、
アイドルビジネスに対する「こだわりの密度」は雲泥の差だと思うし、
もちろん、歴然とした事務所としてのキャリアの差も当然存在している。
にも関わらず、内容はどうあれ、二つがおなじ俎上で論じられるというのは、
ハロプロの行ってきた「突貫工事」の完成度がいかに高いかを物語るものだし、
それを自信として、ジャニーズ同様、ハロプロも「自分の形」を突き詰めていければ、
きっといつか、双璧と呼ばれる時もやってくるに違いないと思うのだ。