215「ハロ☆プロ パーティ〜!2006 〜後藤真希 キャプテン公演〜」



ハロ☆プロ パーティ〜!2006 〜後藤真希 キャプテン公演〜日程(オフィシャルサイト)



いや、見に行ったのは、確かに「後藤真希キャプテン公演」だったのではあるが、
申し訳ない話、ボク個人の耳目の中心は、ガゼン辻希美であった。


断っておくが、それは別に後藤真希のパフォーマンスに、
見るべき点がなかったという意味では断じてない。もちろん美勇伝しかり。
彼女たちの豊富なキャリアと、類い稀な表現力との融合。
そこに、絶妙のセットリストが絡み合って生み出されたステージはまさに圧巻の一言であり、
前回の松浦亜弥キャプテン公演と双璧、もしくはそれ以上の完成度であるという事は間違いがない。
だが、その素晴らしいステージの肝となったのは、
後藤真希の貫禄でも、美勇伝のカラフルさでもなく、
実は辻希美の「底力」なのではないかと、ステージを見ながらボクは強く感じ入ったのである。


W(ダブルユー)が活動休止を余儀なくされ、半強制的に辻希美が独り立ちせざるを得なかった事は、
結果的に彼女にとっての大きなプラスとなったのではないかとボクは見ている。
それまでにも、ソロの仕事がなかった訳ではないのだが、魅力を出すのもどこか他人頼りというか、
信頼できる相方と一緒の時のような弾け方には程遠い印象で、
一人で他流試合に挑むようになるにはまだ先かも…などと勝手にそう思っていた。
もちろん、辻希美が面白さというファクターだけのタレントではないという事は、
ボク自身重々自覚しているつもりだし、その実力の程をしっかりと確認してきた自負はある。
だからこそ、彼女というパーソナリティがしっかり活かせるいい環境が調わず、
それが原因で彼女自身がもう一歩の変わり身を見せられない事に対して、
ボクは、何とはなしの歯痒い思いをずっと抱いてきた。
確かに加護亜依の一件は、誰も得をする事のない、極めてネガティヴな出来事だったが、
辻ちゃんが「W離れ」し、本当の意味での一人立ちを果たす礎になったのだとすれば、
加護ちゃんには悪いが、それは辻ちゃんにとって結果オーライ以外の何物でもない。
そして、そのおかげでというのも変だが、今の彼女の一挙手一投足には、
「一人でやってかなきゃ」の強い思いが、溢れんばかりにみなぎっている。
辻希美が本来秘める潜在能力を、誰に構うことなくフルに発揮できるようになった今、
そのパワーが、後藤や美勇伝のそれを凌駕した事は不思議でも何でもないし、
それがリアルな形で確認できるのが、今回のステージという訳である。


ステージの大団円。『I WISH』の大サビを力の限り唄い上げる辻ちゃんに、
自然と加護ちゃんの姿が重なる。そして、客席から歓声が上がると、
少し照れたようにはにかんで、彼女はまた元の辻ちゃんに戻った。
本当は横で一緒に唄っていたはずの「ベスト・パートナー」に贈った、
あるいはそれは、彼女なりの力強いエールなのか。
そして、そこに垣間見えた「絆」の深さこそ、ソロ辻希美の原動力なのである。