211「2nd〜染みわたる想い〜 〜安倍なつみ2ndアルバム」



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つくづく愚かな連中だったな。
アルバムを聴きながら改めてそう感じたのである。


ただ「なんかオモロイ」という理由だけで、あの時、安倍なつみを貶めた多くの者たち。
もしもあの時、そんな愚か者たちのせいで、
彼女が「なっち」を辞めてしまうような事になっていたとしたら。
そう考えると、あの祭りに加担した者たちに対して、身震いがするほどの怒りをボクは覚えるのだ。
「まあ、あの時自分は参加してないから…」なんて思っている人間も多かろうが、
その中にだって同罪はいる。『アベフ』などと、彼女や、彼女を支えるファンの事を揶揄し、
そして、それを当然の事のように思っている馬鹿者たちは今も多い。
そんな人間に当時の彼女を攻撃していたアホ供を責める資格など微塵もない。
全ての低脳なヲタたちは、このアルバムを聴いて、今更ながら猛省をするべきである。


しかしまあ、ゴミ共が騒ぎ倒してくれたおかげで、彼女もいい休みが取れたという点は否定できない。
少しその歩を緩め、内省的にいろいろと考える時間ができた事は、
結果、彼女にとっては大きなプラスだったと言っていいだろう。
もちろん「唄う」という事とも、彼女はまっすぐに向き合ったに違いないし、
その成果として、唄い手・安倍なつみの幅がグンと広がった事は、
このアルバムを聴いていれば手に取るようによく解る。


ボクはまず1st『一人ぼっち』を先に聴き、それから今回のアルバムを手に取った。
もちろん、2枚目のアルバムとしての総体的なデキの良さも実感したかったが、
それ以上に、安倍なつみの歌い手としての成長をじっくり味わってみたかったのである。
聴き比べて感じたのは、曲と歌のバランスの違いであった。
1枚目では、楽曲の上に彼女の歌声が乗っかっているような感じで、
歌声が、ギターやドラムと同列のワンパートのような、そんな聴き心地。
決して悪くない仕上がりだったが、どこか楽曲を「着せられている」ような赴きも感じた。
だが、今回のアルバムでは、そのパランスが全く逆になっていて、
つまり、彼女の歌が、楽曲全体をしっかりと引っ張っているのである。
言い換えれば、彼女の歌声に、自己主張とそれに伴う確かな存在感があり、
楽曲全体にドッシリとした安定感を生んでいるのだ。
先に書いた、歌い手としての彼女の幅の広がりは、おそらくこれが醸し出しているのだと思う。
もちろん定評のある表現力も、前作に比べますます磨きがかかり、
実に素晴らしい出来映えのアルバムとなっている。
1stの壁を乗り越えられない2ndアルバムというのは、音楽界ではままある常識だが、
モーニング娘。しかり、松浦亜弥しかり、ハロプロにおいてはあまり通用しない話のようではある。


ニューシングルとなる『スイートホリック』も上々の出来で、
完全にスイッチが入ったと言っていい、2006年の安倍なつみ
あの時の躓きで、慎重さや冷静さを学んだ今の彼女なら、もう立ち止まったり転んだりはしない。
トップギアのまま、どこまでも突っ走り続けていく彼女の背中を見失わないように、
ただ目をそらさず、彼女の事を見つめ続ける事が肝要なのである。