206「もうガキなんて、言わせない」



Berryz工房(オフィシャルサイト)
℃-ute(オフィシャルサイト)



圧倒的だった。


勢いというものは、人にここまでのパワーを発散させるのかという素直な驚き。
そして、その放たれたパワーが秘めていたのは、まだ荒削りながらも、
確実に本物の趣きを感じさせる、まばゆいばかりの輝き。
この期に及んで、興味がないとか、異物たる存在だなどと、
逃げ口上を並べ立てて目を背けている事ももはや限界。
ましてや、仮にもここまで、アイドルのファンとして20年もの間生きてきた者として、
その適性において大いなるポテンシャルを秘めた彼女たちを、
このまま見過ごす事などは、当たり前の話ではあるのだが、到底できるはずはなかった。
2006年3月19日。
彼女たちの存在が、ボクの嗜好の俎上に本格的に乗ったその日は、
ボクのアイドルファン人生における、間違いなく大きなターニングポイントとなるだろう。


というか、彼女らが高いポテンシャルを持つというのは、冷静に考えれば何ら不思議な事ではない。


ハロプロキッズとして、オーディションから世に出たのが2002年。
まあ2003年の夏ハローのお披露目が実質のデビューだと考えても、
それから優に3年もの時間が経過しているという事になる。
少なくとも、モーニングの6期以降のメンバーより長い芸歴であり、
モーニング娘。の一員として、ちゃんとした座席が確保された上で芸能界入りをした訳ではなく、
一応はハロプロのブランドを背負っているとは言え、事務所としても初の試み。
企画自体がどう転ぶのか全く見えない状況下、日々のレッスンと添え物的な仕事の積み重ねで
確固たるスキルを磨いてきた、下積み時代が彼女たちにはある。
天才・道重やミラクル・久住が、天賦の才だけではどうやっても手に入れる事のできない、
「足腰のしっかりした実力」を、Berryz工房℃-uteは持っているのだ。
まず実力。そして若さに任せた勢い。さらに、それら二つの要素を増幅させ、
比類のないパフォーマンスを引き出す為の、作りこまれた素晴らしい楽曲。
この三位一体の図式こそが、キッズ派生のユニットの持つポテンシャルの正体なのである。


まあBerryzの成長度については、今さらここでくどくど書く必要もないだろう。
新曲『ジリリ キテル』のパフォーマンスには、もはや貫禄のようなものさえ感じられるし、
広いSSAのアリーナを使って唄い踊る様は圧巻の一言だった。
それよりもなによりも、特筆すべきなのが℃-uteの『わっきゃない(Z)』である。
「なんなんだこれは!」と思わず叫んでしまうほどに、
楽曲、ダンス、そして全体から醸し出される雰囲気。全てがただひたすらに瑞々しく、
それはまるで、井戸水でキンキンに冷やしたもぎたてトマトを
一口かじった時のような、全身を貫く爽快感。
こんな世界が、よもや自分の近く展開されている事など、ボクは露ほども思わなかったし、
そんな自分の見識のなさにほとほと嫌気がさしてしまうくらい、
彼女たちのパフォーマンスには素晴らしいものがあった。


あるいは、次世代のハロプロは、この2ラインげ牽引していく事にもなるのだろうか。
しかし大丈夫。彼女たちの実力と魅力を、しっかりと見極めた今のボクなら、
例えそうであったとしても、きっと抵抗なく彼女たちの後ろをついていけそうな、
そんな気がしている。