204「SEXY BOY〜そよ風に寄り添って〜モーニング娘。29thシングル」



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モーニング娘。の楽曲が、一連のエンターテインメントの中の
「アトラクション」の一つとして捉えられるようになって久しい。
もちろんその開祖は『LOVEマシーン』であり、
以降、モーニング娘。の楽曲の在り方は、頭と身体で、文字通り歌を「楽しむ」という方向性で、
ここまでの時間が経過してきた。
だが、グループのカラーが日々変化していくとともに、
まっすぐ向いていた楽曲の方向性もまた、微妙な変化を遂げてきた。
特にダンス☆マンが手がけた楽曲が持っていた雰囲気と、かしまし物語や直感2の醸し出すそれは、
同じ賑やかな曲であっても、全く異なるものを持っている。
何がどう、という事を上手く伝えられないのが実にもどかしいのだが、
ダンス☆マン作品にはあった「外向性」の趣きが、どんどん「内向性」にシフトしてきたというか、
あまり使いたくない表現だが、有り体に言ってしまうと、
「一般受け」するようなテイストの曲が、ここ数作はめっきり出なくなってきているような気がするのだ。
別に、ファン以外に殊更にモーニングを訴求して欲しいという訳でもないし、
むしろ、一般受けせんがために、身分不相応な事をやったりやらせたりという話は、あまりいただけない。
ただ、モーニング娘。発信で、さまざまなムーヴメントが起きていたかつての日々を考えた時。
そして、まだまだ彼女たちの中にそういうポテンシャルが秘められていると絶対的に信じているがゆえ、
ボクは、彼女たちの楽曲の方向性が外に向く日を、ただひたすら待っていたのだ。


パラパラというより、80年代前半の「たけのこ族」のイメージが強い楽曲の雰囲気。
そして、みんなで踊ろうと言わんばかりに、ダンスの図解をサイトで披露してみたり、
そのダンスは難解さを一切そぎ落として、まさしく誰でも踊れて、完成度もそれなりに高く映る。
今回の楽曲で、モーニング娘。はおそらく再び「外向性」の指向を取り戻すことだろうと思う。
後は売り方である。せっかく「モーニング娘。発」という最高の手札を持っているのだから、
ただ単に歌番組に出て賑やかしをするのではなく、この楽曲が、かつてのような、
ムーヴメントの軸になるような、そういう路線を貫いて欲しいと思うし、
巷のカラオケで、お姉ちゃんたちが「ぅぇぅぇ」などと言いながら
盛り上がる姿を思い浮かべただけで、実に痛快な気分にさせられるというものである。