202「奇跡(MIRACLE)」



モー娘。久住がソロデビューへ(デイリースポーツ)



費やしてきた時間ばかり長くて、結局何にも解っちゃいないんだよオマエは。
なんて、あちらのスタッフから嘲笑されているかのような、そんな気分になったのである。


ボクだって、伊達に長い間ハロプロのファンをやってきた訳ではないから、
久住小春の「ミラクルっぷり」については、その確かな成長の跡を裏づけとして、
十分に認識をしていたつもりだし、これからのモーニング娘。ひいてはハロプロを牽引していく存在に、
いずれ彼女はなっていくであろうという、限りなく確信に近い予感は持ってはいたのだ。
それが負け惜しみでもなんでもないという事は、過去、彼女についてここで書いてきた文章を
読み返してもらえれば簡単に解ってもらえるだろうと思う。
ただ、ここまで早い段階で、しかもアニメ声優との二本立てという、
この上ない華々しさをもって、彼女がソロとして一人立ちの時を迎える事になるとは、
正直なところ予想をしていなかった。
ノーマルな思考では、必ずどんでん返しを食らうという事を、
ハロプロのファンをやってきた中で、何度も何度も味わっておきながら、
それでもやっぱりこんな風に、突然アッと言わされてしまう。
キャリアや自負やプライドだけは一人前に持っていても、
所詮ファンとしては、まだまだ精進が足りないという事なのか。
ただ、今のボクの気持ちは、彼女が非凡なアイドル性を秘めているという前提があったとしても、
「え、もうですか?」というのが正直なところでなのである。


やっぱり後藤真希という存在なのかな、と思う。
いや、その当時の後藤真希と今の久住小春を単純に比較するような、
そんなおバカな人間は、ボクも含めてもはや誰もいないとは思うのだが、
例えば記事の中にも名前が出てきていたりするし、
そもそもオーディション時にプロデューサーの口から、その在り方としてという注釈はついたものの、
後藤真希という名前がはっきりと聞かれた事などを鑑みた時、
モーニング娘。における後藤真希という存在が、久住小春の「今現在」の大きなキーになっている、
というのも、全くありえない話ではないだろうと思うし、
その後藤の後を受け継いで、いや、むしろ後藤真希を越えるような、
ハロプロのドル箱的存在に成長して欲しいという強い期待の表れが、
おそらく今回のソロデビューなのではないかとボクは見ているのだ。
もちろん、それが悪い話という訳では決してないし、
後藤が年齢よりも大人びた路線を向いて進み出したのとは違い、
久住は全く等身大のキャラ付けからのスタートであり、それなりの難しさはあろうが、
比較的自らの良さを素直に出しきれるフィールドでの活動になりそうなので、
これはとんでもない大失敗でした、のパターンというものもあまり考えられず、
前途としては明るいものであろうとは思う。
だが、後藤真希が、加入してわずか3ヶ月でプッチモニに抜擢され、
出したシングルがミリオンヒットを記録したり、さらにその数ヵ月後にはソロデビューし、
デビュー曲でオリコン1位を獲得するという、年を経て、例え数字の価値が激変したとしても、
記憶として色あせない数々の「奇跡」を起こした、特別な存在であるという事を忘れてはならない。
だから久住の方が平凡なのだ、なんて愚かな事を言うつもりは毛頭ないが、
当時の後藤は、ある意味で人知を超えた存在だったし、
もし仮に、作り手側や見ている方に、後藤と久住を重ね合わせるような意識があるのだとすれば、
相手が相手だけに、同列に取り扱う事は、久住にとっていささか酷だろうなとは思うのだ。
だから、後藤真希という、ある種の呪縛が取り払われるまで、
いま少し「寝かし」の時期があっても良かったのではないか、というのがボクの見解である。


まあ、彼女がソロデビューするほど力をつけているなんて、夢にも思わなかったなどと、
彼女の実力を完全に見誤っているような、オヤヂのそんな戯言などどこ吹く風で、
ソロとしての彼女はきっと十分な成果を残してくれることだろうし、
仮に満足な成果が得られなくとも、自らがこれから芸能界で生きていくための、
これが大きな糧になる事は、絶対に間違いない。


加入1年。
噂のミラクルエースが、ついにそのベールを脱ぐ。