201「カッコいい辻希美は、好きですか?」



辻謝罪「あいぼん反省して戻ってきて」 (デイリースポーツ)



なんか知らないが泣けてきたんである。だって、最高にカッコいいではないか。


それが、例え用意されたコメントだったとしても。本人にその気がないのかも知れなくても。
どこまでもあどけなくて、いつだっておバカ一直線だったあの辻ちゃんが、
引き締まった表情で、長い間苦楽を共にした悩めるパートナーに、厳しくも温かい言葉を送る姿に、
彼女の確かな成長の跡を見た思いがして、ボクはとても大きな感動を覚えたのだ。


6年前のオーディションの時から、思えば2人は何をするにもずっと一緒だった。
プライベートでも信じられないくらいに仲が良くて、
もちろんモーニング娘。として活動している時も、それがいい事か悪い事かはともかく、
辻ちゃん」と「加護ちゃん」は常にワンセットの存在だった。卒業も一緒。卒業後の進路も一緒。
それが故に、2人のそれぞれのファン同士が最高に仲が悪いというのは皮肉だが、
とにかく、2人はまさに「一心同体」の間柄だった。
「いや本当は仲が悪いんだよ」なんて口さのない話もよく聞かれるが、
上辺だけの仲の良さかそうではないかなど、彼女たちを真剣につぶさに見続けている者であれば、
そんなものは簡単に見抜ける話だ。ボクにだって解るくらいなのだから、
そんな事も解らないようなガラクタは、ファンとしては存在する意味もなかろう。
まあ今はその事はどうだっていい。
で、こんな痛い事はさすがに誰にも言えなかったのだが、この際だから言ってしまうと、
加護ちゃんがあんな事になってしまったのは、お互い年齢的に成長し、
辻ちゃんとの関係が変化してきたのが、大きな原因なのではないかと、
実は密かに思っていたりするのである。


まあ今に始まった事ではなく、少し前から、2人の生きるフィールドは微妙に、
それでも確実に変わってきてはいたと思うのだ。
もちろん、仲の良さや阿吽の呼吸には、いささかの揺るぎもなかっただろうが、
我々を含めた多くの大人がそうだったように、
彼女たちもまた年齢を経て、自らの置かれた環境を変化させていった。
遊び仲間や好きな食べ物。そして、あれほど近かったお互いの距離感さえも。
そして、辻ちゃんが、あれほどふくよかだった身体を
「激痩せ?」と周囲を心配させるくらいにシェイプアップさせ、
フットサルのゴレイロとして汗を流す日々を送るようになり、
さらにWとしても、ソロでのテレビ出演などが増えてくるようになって、
2人は「1人と1人」としての生き方を色濃くし始めた。
ベタな言い方をすれば、名実共に「ダブルユー」となった訳である。
無論、それは彼女たちにとって喜ばしい事であるには違いない。
だが、「個」として生きるという事の裏にあるものは、
責任という名のあまりに重過ぎる荷物あり、ずっと「ニコイチ」だった2人にとって
その重みは、生まれて初めて味わうものだったに違いない。
一人で生きるという事の責任の重さをリアルに受け止め、
気を引き締め直して、新しい人生の第一歩を踏み出せたかどうか。
もし仮に、Wの辻加護として、ベッタリとした関係が今も続いていたとすれば、
果たして加護ちゃんが、おねーちゃん達との夜遊びに興じたりするような事が起こりえただろうか。
タラレバがどこまで行っても不毛だという事は、もちろん承知の上だし、
前に書いたように、やってしまった事は事として、
ちゃんと反省して欲しいと強く思っている気持ちはもちろんあるが、
その一方では、辻ちゃんの存在さえあれば、きっとこんな事も起こらなかったのでは…
などと思う自分がいたりするのもまた、偽らざる真実である。


加護ちゃんが帰ってくる日。それは同時に、Wが復活する時でもある。
その時が来るまで、どんな心持ちでいればいいのか。
不安で仕方がないボクたちを、辻ちゃんは自らの気持ちを吐露する事で強烈に鼓舞してくれた。


あいぼんにも十分反省してもらって、戻ってきてほしいです」


そう。この一言で、ボクたちはまだまだ戦えるのだ。