192「まるごと『レインボー7』/Part1」



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このコラムをやっているうちに、
またアルバムのレビューを書く事ができる。それがまず何よりも嬉しいのである。


5枚目から6枚目のブランクが1年8ヶ月。過去には、実に2年もの間にわたって、
オリジナルアルバムを我慢させられたという歴史もあったりした訳で、
今回のアルバム『レインボー7』が、極めていい感じのテンポでリリースされたという事は、
これはもう実にハッピーな出来事であり、そして、そのアルバムの感想を
またこの場で大っぴらに語れるという事の喜びを、今はただじっくりと噛み締めている。
そして、そんな嬉しさの余り、今回なんと、
新録曲全てのレビューを書いてみようなんて思い立ったりしたのである。
いいアルバムだという、聴き手誰もが抱く至極当たり前の感動をさらに増幅させ、
感情を揺さぶるレビューが書けるかどうか。
コラム書きとしての、これはまさに正念場である。
尚、シングルカットされた曲については、リリース当時にコラムして記しているので、
そちらを参照いただきたい。



#1 『HOW DO YOU LIKE JAPAN?〜日本はどんな感じでっか?〜』


今を生きるニッポンの女の子が抱く「愛国心」を具現化すると、たぶん、
この曲のような形になるのだろう。
夏休みには海に行き、お正月には初詣に行く。コンビニがあればとりあえず不自由はなにもないし、
たまに食べるお茶漬けがこれまた最高に美味しい。
英語なんていう融通の利かない言語とは違い、微妙な日本語のニュアンスは
自らの感情さえも表現してくれるし、なにより一緒にいて最高に楽しい友達や彼氏と
いつでも繋がっていられて、毎日メールして、遊びに行って…
こんなに充実してていいの?というくらい、めちゃめちゃ楽しい毎日。
日本サイコー。四季サイコー。白米サイコー。日本に生まれて本当に良かった。
フツーの女子の感覚に最も近く、それでいて豊富な表現力を持つプロのアイドル・モーニング娘。が、
そんな女子の日常を上手く料理した意欲作は、アルバムのトップに相応しい力強い仕上がりになった。


少女に「日本」を語らせる。これほど痛快な話はないのである。


どうしようもない政治家連中や、自分の事しか考えていないような頭の悪い大人たちが、
躍起になって、自分たちの都合のいいようにいろいろ作り上げ来て、
挙句そのツケが回って、今とんでもないピンチに立たされているのが日本という国の実態。
その事を知れば、今の日本を生きていたって楽しい気分でなどいられないはずなのだ。
けれど、少女たちはいつも元気で、そして屈託なく日々を楽しく過ごしている。
「そんなの、日本の事を何も考えていないからだ」なんていう意見があるとするならば、
それは見当違いも甚だしいとボクは言いたい。
彼女たちは、日本の事をちゃんと考えているし、何より日本という国をとても愛している。
難しい事は解らない。けど、お父さんとお母さんの間に生まれ、
日本という国で育ち、そして日本という国の、今を生きる彼女たち。
そして、冒頭書いたような愛国心すらも持ち合わせている。
底の浅い愛国心だとせせら笑う者もいるやも知れぬが、これほどまでに日本という国を愛し、
そして楽しんでいる大人が果たして存在するだろうか。
常に眉間に皺を寄せ、小難しく日本の未来を案じ、憂い、そして深いため息を吐くだけの人生よりは、
日本という国に生まれ育った事を思い切り楽しむ人生のほうが、実は何倍も有意義なのだ。


アルバムの1曲目で、勢いがつくというだけの趣旨ではなく、
モーニング娘。という存在が「日本のあり方」を世に問いかける、含蓄のある一曲。
そういう風な心持ちで聞いてみると、ビートにグンと重みが増すような
気がするのはボクだけだろうか。