190「親心」




『W 加護亜依』についてのお知らせとお詫び
(オフィシャルサイト)



ボキは、今回の件に関して、加護の事を擁護するつもりは全くない。
彼女がした事は、日本に生きる一人の人間として、決してやってはいけない法律の不遵守。
実際に刑罰を受けることはないかも知れないが、
やってはいけないと言われている事をやってしまった、という事に対しての責任はとても重いだろう。
しかも、年端行かない少女とは言え、彼女は芸能人という名のれっきとした公人。
ファンやスタッフといった多くの人間の信頼を背負い、
その言動には大きな影響力が伴うという事を常に意識しなければならない存在なのである。


「高々煙草一本吸ったくらいで大仰な。そんなもん18の女の子なら誰だってやってるだろうが」


御説ごもっとも。ボキだって18,9の頃と言えば、大人の世界に興味もあったし、
それがいけない事だとは知りつつも、いろいろ悪さも人並みにしたので、
いけない事への衝動が抑えられない心理というものは十分に解っているつもりだ。
だから、その辺に漂っている18歳がどんな事をしようが、
それをオヤジ臭く咎める気持ちなどこれっぽっちもない。
ただ、加護亜依は巷に溢れる普通の少女などではなく、
アイドル界の、それもトップクラスの「個人ブランド」である。
彼女がしたのは、そのブランドを自ら傷つけ、泥を塗る行為そのもの。
そしてそれは、そのブランドを日々支えるスタッフ、あるいはブランドを
こよなく愛する多くのファンたちへの背信行為に他ならない。
松浦亜弥のスキャンダルの時にも書いたが、支持してくれているファンに対して、
「あなただけの私」であり続ける事だけがアイドルという職業の絶対的な生命線であり、
その関係性を維持させる為に、アイドルたちは一人の人間として抱いて当然の
感情や衝動を押さえ込み、真実の自分をひた隠しに隠して、常に虚構の自分を演じながら、
ファンである我々を、良い意味で騙し続けているのである。
感受性の醸成が最も必要な年代にも関わらず、それが叶う事なく、
「普通の女の子の生き方」というこの世で最も普遍的な幸福さえ取り上げられてしまう。
こんなにムゴい世界はないというものだ。
しかし、そんな世界に望んで飛び込んできたのは、他ならぬ彼女たちなのだ。
だから、例えそれが、人として気にそまぬ生き方であったとしても、
多くのファンのおかげでアイドルとしての自らがあり、そのファンたちが求めるものが、
真実とは掛け離れた虚構の自らなのであれば、最後まで虚構と共に生きてこそ、
本当のプロ意識と言えるものなのではないかとボキは思う。
だから、今回加護が起こした騒動は、事務所コメントが言うように、
彼女に芸能人としての自覚が足りなかったという事以外には何も無い故、
多くのファンに残念な気持ちを抱かせたペナルティは甘んじて受けるべきだろう。
可哀相な物言いかも知れないが、それが全てである。


ボキは今回の一件、「親心」の欠乏が全ての元凶のような気がしているのだ。


例えば所属事務所。
12歳だった加護を預かりここまで育てた、実質的な親代わりてある事に異論はなかろう。
社会のなんたるか、芸能人のなんたるか、そして引いては人間のなんたるかを、
人生経験を積んだたくさんの大人が教えていく本来役割のはずだが、
こんな出来事が起こってしまった。出された公式のコメントもどこかよそよそしく、
親代わりとは言いながら、彼女を一人前の女性に育てたいという
親心のようなものは残念ながら感じられなかった。結局お仕事という繋がりが全てという事なのか。
いずれにせよ、親代わりとして機能しきれなかった事については大いに猛省してもらいたい。


親代わりではなく本当の親。つまり肉親の方々はどうだろう。
彼女に真っ直ぐ育って欲しいと思う親心。その為に、これまでの時間、
彼女に惜しみない愛を降り注ぎ続けてこられてきた事だろう。
子を思う気持ちはそれはもう一入であろうし、だからこそ彼女が夜遊びをする事も、
そこで行われる事も、彼女の責任の上ならばとあるいは許容されてきたのかも知れない。
しかし。彼女が芸能界で生きる事を望み、そこで成功する事が、
少なくとも現時点での彼女の幸せなのだとするならば、そこから逸脱しないように導く事が
真の親心と言えるのではないだろうか。芸能人としてのマイナスイメージがつく事が、
彼女にとっていかなるダメージとなるのか。娘を思う親心には富んでいても、
芸能人として大成したい娘を導く親心が、残念ながら親御さんには希薄だったという事なのだろう。


最終的に、芸能人としての彼女を、本当の意味で温かく見守れる親心を持った存在は、


そう。我々ファンだけなのだ。


確かに僕らは彼女に近しい人たちみたく、未然に彼女の生き方に干渉したり、
こういったスキャンダルに巻き込まれるのを現実的に止めたりする事はできない。
どこまでいってもアイドルとお客さんという関係性は変わらないからだ。
しかし、さっきも言ったが、芸能人として成功する事が彼女のこの上ない幸福なのだとするならば、
その幸福へと的確に彼女を導く事ができるのは、実は僕らの他には存在しないのである。
だから、良くない事にははっきりとノーを言う。冒頭書いた辛辣な意見の真意はそこにある。


全てはファンとして彼女に注ぐ親心。
そしてもちろん、反省すべきを反省したら、彼女はまた僕らのところへ戻ってくればいいのだ。
これしきでヲタ辞めだ乗り換えだヘチマだという大馬鹿ヲタはともかくとして、
加護亜依という存在を少しでも愛そうという意志があるのならば、
彼女が真の復活を果たすその日まで、その席を温めて待っていればそれでいい。
そして、また彼女の屈託ない笑顔に癒されればいいのである。