183「『砂を噛むように…NAMIDA』〜松浦亜弥18thシングル」



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一筋縄ではいかない。という事は重々承知の上なんだけど、
今回のシングル『砂を噛むように…NAMIDA』を聴く限りにおいて、
こと松浦亜弥に関しては、もうこの路線でほぼ確定的なのではないかな、とボキは思ったりしている。
心にジンとくるフォークのテイスト。そして透き通るようなファルセット。
どんなものを作っても、必ずクセのある仕上がりになるつんく♂楽曲にはまず考えられない、
本当の意味でのあっさり味が耳にとても心地よい仕上がりになった今回の楽曲。
あっさり味の楽曲というものは、時として歌い手を選ぶものであり、
歌い手の表現力の大小が、そのままイコール楽曲の良し悪しになると言っても決して過言ではない。
松浦亜弥が非凡な表現力で唄う事で、
ややもすれば地味と映りかねないシンプルな楽曲を大きく引き立たせ、
楽曲の持つ凡庸さを解消させているあたり、さすがというより他にない。


個人的に、松浦亜弥には、これからもちゃんとした歌を唄っていって欲しいと思っているし、
ビートやダンスやフェイクやキャラクターなどに頼らず、
己の力だけで勝負するジェニュインとして、むしろハロプロの外に向けて
もっと実力を発揮してもらいたいと常々思っている。
無論、それだけの能力が彼女には確実に備わっているのは言うまでもない。


そうして歌を聴かせる事に心を注ぎ続け、デビュー当初あれだけ鮮やかだった原色の個性が、
完全にモノトーンにの雰囲気に変化してしまったとき、
松浦亜弥からは、以前のような、存在しているだけでOKという「面白味」は消えてなくなり、
歌手として、歌の実力だけをストレートに表現して評価を得る存在となっていくことだろう。
あるいはその事で、彼女に魅力を感じなくなるというファンも出てくるかもしれないし、
その事は「ハロプロ松浦亜弥」の事実上の終焉を意味するのかも知れない。
だが、それはそれで仕方がない事だとボキは思うのだ。
むしろ、松浦亜弥の本当の良さが理解できない者たちが、自然淘汰されていくという意味においては、
彼女がさらに大きく羽ばたいていく上での、それは大きなプラス材料と言えるだろう。


もちろん、ハロプロとは一線を画する存在になったとしても、
ボキは彼女を変わらず支持し続けるつもりだ。
というか、彼女の良さをいつまでも実感していられる、
「違いの解るヲタ」であり続けたいと、ボキはそんな風に思っているのである。