182「天使の休息」
高橋愛が、正月ハローの後のオフを使ってニューヨークに行った話を聞いて抱いたのは、
「ああ高橋もステップアップに向けてがんばってるんだなあ」
みたいな優良ヲタ的な感慨では残念ながらなく、
「あ、意外とちゃんと休みをもらっているのね」という、なんともくだらない感動だった。
それで、ふと思い出したのは数年前の正月。確か2001年の年明け。
保田圭がダウンし、ハローの初日を欠場した時の事である。
その前年の2000年は、モーニング娘。が、
今では想像もできないほどに、とてつもないムーヴメントを巻き起こした年。
CDリリースはもとより、テレビにラジオに雑誌、主演映画の公開にCM出演。
メインワークとも言うべきコンサートツアー。
そして、メディアには乗らない類の地方イベントへの出演という、
まるで芸人の営業のような事まで淡々とこなしていたモーニング娘。だった。
しかも、本体だけでなく、タンポポやらプッチモニやらシャッフルユニットやら、
いわゆる「付帯業務」もわんさかスタンバイしており、
彼女たちが数分単位で「切り売り」されていた、そんな時代。
我々ファンにとっては、確かに充実感に満ち満ちた時代ではあったが、
当の演者たちにしてみれば、相当ハードな日々であったに違いない。
いや、スターになりたいという一点で芸能界を志した彼女たちにとっては、
その苦しい日々もある意味本望だったのかも知れないが、いくら若いとは言え、
その身体はいつ悲鳴をあげてもおかしくない状況だったと思うし、
実際、メンバーの何人かは体調を崩してしまった事もあった。
そういう意味であの保田のダウンは、過剰なハードワークが続いていく事への警鐘でもあった訳だが、
上昇気流に乗っていた当時のモーニング娘。は、止まる事を許されなかった。
その後も、コンサートで矢口が倒れてしまったりするなど、
相変わらずのオーバーワークっぷりだったが、
ハロプロ自体に知名度が出始め、モーニング娘。に偏る比重が少なくなった事、
そしてモーニング娘。の活動範囲が狭まった事もあり、多少は時間的に余裕も出始め、
冒頭に書いたように、休みを使ってどうこうなんていう話をよく聞くようになってきた昨今。
考えてみれば、名曲『卒業旅行〜旅立つ人に贈る歌〜』も、
正月休みを使って行った温泉旅行がモチーフになっていたりもするし、
まあ、だいたいモーニング=休みナシという図式を抱いているという事が、
前時代的過ぎるという事なのだろう。錆びてしまった思考を素直に反省したいと思う。
無論、オフが増えるという事にデメリットはほとんどない。
オフを使ってリフレッシュする機会があれば、仕事の煮詰まりも解消されるだろうし、
タレントとしての幅が広がる可能性も大きくなるに違いないからだ。
ただ、オフがあるからと言って、あまり「悪さ」をしないで欲しいとは思う。
また写真が出ましたなんて話、あまり聞きたくないですら。ええ。