181「バラ売りの妙」
まさか、なんて言うのは失礼なのかも知れないけど、
Wがソロ展開を見せるとは、本当に、まさか思ってもみなかったのである。
「いつの時代の話をしとんねん」と突っ込まれるのを承知の上で言うが、
ボキの知っている辻希美と加護亜依というタレントは、
ハロプロを離れた部分での仕事を、破綻することなくソツなくこなすというイメージはない。
だから、実際テレビでそれぞれのそういう姿を目にした時、
なんというか、辻とか加護ではない、全く別の誰かが出て喋っているような感じで、
なんだかとても複雑な心持ちになってしまう。
もちろん、彼女たちがそれだけ成長したという、それはなによりの証であり、
歳の離れたベテラン的ファンならば、思わず目を細めてその姿に見入る…
というのが正解なのかも知れないのだが、そういう気持ちよりも、
どんどん年齢を重ね、それと比例するように経験も重ね、別人のようになっていく二人を見ていると、
娘を嫁にやる心境というか、ボキの知ってる二人がどこか遠いところへと旅立って行ってしまったような、
なんとはなしの寂しさを感じてしまうのである。
まあいずれにしても、すくすくと立派な女性へと成長を遂げている彼女らにしてみれば、
おっさん何言ってんの?という、ウザい事この上ない、勝手な親心だとは思うのだが、
いかんせん、「ぶりんこうんこ」等のとてつもない時代をリアルに生きてきただけに、
はい、オトナになりました。と、今の姿を見せられたところでアンリアル窮まりないというのも、
これまたむべからぬ話というものなのである。
まあ、そのようなキショい話はともかくとしても、
Wの二人がそれぞれ個々に活動するという事には大賛成である。
だいたい「辻加護」というワンセット自体がモーニング娘。時代の遺物だとボキは思うのだ。
確かにその頃の強烈なインパクトこそが、
二人をモーニング娘。から切り離して活動させても勝算が見込める拠り所だったし、
事実知名度という点では、数あるハロプロメンバーの中でもトップクラスと言っていい。
しかし、その抜群の知名度ゆえ、二人から「ワンセット色」がなかなか抜け切れなかったのも事実で、
結局、「辻加護は辻加護」というイメージがデビュー後しばらくのWには確かにあった。
それから二人は、それぞれ自分の特性に見合ったの方向で成長を重ね、
今では、二人が全く毛色の違うキャラクターになった。
たぶんこの状態こそが、本当の意味でWの、そして辻希美と加護亜依の
「良さ」が十二分に発揮できる状態であるとボキは思うし、
その一環としてのソロ展開というのならば、心配する事などは何一つないだろう。
むしろ、ワンセットの呪縛が取り払われた後のWというユニットは、
確実にその幅を広げ、新たな魅力を我々に提供するに違いないとボキは読んでいる。
突き刺すような個性を放ち続けるWからの、「挑戦状的」魅力を
この身体でしっかと受け止めねばならない今後。
親心などと、呑気に老け込んでいる場合でもないのである。