179「オ・ン・ナ」
「辻と加護ってずいぶんオトナになったよなあ」
ちょっと長めにファン稼業をやってる人間にとっては、至極当然の感慨。
つい数年ほど前までは、食い物とウンコの話しかしなかったのに、
今じゃ「シンデレラ城の前でチューしたい」なんて事を、
頬なぞを赤らめながら言ってのけてしまうのだから、感慨なんていう情緒的なものじゃなく、
一種の奇跡を見ているような、そんな気分にさえなってしまうのだが、
ただ、そんな事をつらつらと考えていると、ふと、
それって実はものすごい贅沢な事なんじゃなかろうかとか思ってしまったのである。
一人の少女がさまざまな経験を経て、やがて女性へと変貌を遂げていくというありふれた事実。
期間にすればわずか10年ほどだろうか。そして、女性が最も輝きを放てる時代は、
実は女性として完成された後でも、その前でもなく、完成途上のこの時期なのである。
女性が最もピュアに美しさを醸し出す期間を、ほとんど一度も目をそらさずに
じっくりと愛でることができるとしたら、男性にとってこれほどの贅沢はない。
ただ、それは限りなく不可能に近いと言っていい。
例えば、娘を持つ親ならば叶うかも知れない。しかし、そもそも実の娘に対して
「おおだんだんキレイに色っぽくなっていくなあ」などというような男性視点の想いは抱かないだろうし、
仮にちょっと変態チックなそんな父親だったとしても、少女たちのこの時期というのは、
異性としての父親を最も嫌う年代ともちょうど重なり、
まあ娘の成長ぶりを目を細めながら眺める…というのはいささか難しいであろう。
身内でさえそんな風なのだから、全く接点のないアカの他人は何をか況やである。
大のオトナが、少女の娘盛りをじっと観察する事などは変態の域を越え、もはや犯罪である。
つまり、女性という美しい生き物の最もきれいな時代を、多くの男性は味わうことができない。
なんとも切ない話ではある。
しかし、そんな切ない男性諸君と一線を画するのが、我々ハロプロのファンなのである。
なんてったって、少女期からオトナへと変わっていく様を、
一人二人ではなく、何人にも亘って定点観測できるし、
しかも、その成長過程や成長振りは千差万別で、様々な色合いの美しさを目一杯堪能できてしまう。
これぞ男性にとっての贅沢の極みと言える。
冒頭書いた辻加護がその最たる例。「ぶりんこうんこ」の時代から、第1期ミニモニ。時代、
第2期ミニモニ。、W、そして18歳と17歳の立派な大人の女性になるまでの
「成長絵巻」を思う存分堪能させてもらったし、これから先だと、Berryzや℃-uteのメンバーが
それこそ急激にどんどん成長していく事は間違いのないところで、
あるいはその様子に感動を覚える者もきっと出てくることだろう。
いささかジジ臭い感じはあるが、他のジャンルにはない、ハロプロ特有の「お楽しみ」と言えるし、
そのまばゆいばかりの輝きに、どっぷり溺れてみるのもまた一興である。